ミステリー

日向まさみち

ライトノベルなミステリー。作品はこれだけなのかな。

「本格推理委員会」
角川文庫 2006(単行本は産業編集センター 2004)

小・中・高一貫教育のマンモス校木ノ花学園に通う修はこの春で高校1年生。型破りな両親のおかげで自分で何でも出来る便利屋に育ってしまった彼は、高校生活オリエンテーションの最後に理事長が出した問題に全問正解してしまい、「本格推理委員会」に無理矢理入らされる。本格推理委員会、それは、校内で起こる様々な事件を解き明かし、生徒達が安心して学校生活を送れるようにしようという「正義の味方」だった……。

と、こんな風に書くと何となく違うような気が(笑)。
まあとりあえず、ライトノベル系学園ミステリーです。シリーズなのかなと思っていたんですが、どうやらこの1冊しか書かれていない模様。ちゃんと1冊で物語は完結していますが、この1冊は割と重たい内容だったので、シリーズ化してちょっと気楽な方向に進めてもらえるとこちらの精神衛生上良かったのになあ、と思ったりします(笑)。

そんな訳で、すごく個性的というか、キャラが立ってるお話で、結構笑わせてもくれるんですが、根っこのところで扱ってるテーマが重たかったので、なかなか痛いお話になっていました。とにかく平凡に生きていこうとする主人公の抱える心の傷は深くて、わかるけれど、若いなあ、と……。

自分の抱いていた無邪気な夢が、失いたくない誰かを失わせる。
心の奥底にある嫉妬心が、誰よりも大切な誰かを傷つける。

それでも、怖がってばかりいたら、身をすくませたままでいたら、何も始まらない。そして、その態度がまた誰かを傷つける。そのことに気付かないまま生きていく人もいるけれど、気付いてしまったら、やっぱり人は動き出さなければならないのです。

校内に咲く桜の花がとても美しい季節のお話でした。
花が咲く頃に読みましょう。
2007.03.02



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