ファンタジー基本図書?


「浜田廣介童話集」

昔、学校の図書室の本棚にたくさん並んでいた、「ひろすけ童話」。どんな話があったのでしょう? 懐かしいですよね。

「浜田廣介童話集」
浜田廣介著 ハルキ文庫 2006

がけの上にある家に1人で暮らす若い赤おには、ほかのおに達とはずいぶん違って、素直で優しい性格だった。そして、できることなら人間達と仲良くなって一緒に暮らしていきたいと願っていた。けれど、おにはおに。お客様歓迎の立て札を立てても、人間達は怖がって近づこうとはしない。そんなある日、友達の青おにがやってきて……(「泣いた赤おに」)。

浜田廣介、と言われてもピンと来ない方が多いのではないでしょうか? 実は私もそうでした(笑)。でも、「ひろすけ童話」って言われたらわかりますよねー。実際には私はあまり読んでいなかったみたいなんですが、この名前はよく覚えていました。それに、上にご紹介した「泣いた赤おに」。これはさすがに知らない人はいないのではないかという……。小学校の国語の教科書にも出ていましたし、ひろすけ童話は図書館にいっぱい並んでいましたから。

この本は、ハルキ文庫童話シリーズのはじまりの3冊のうちの1冊です。ひろすけ童話の中から、従来の子供向けの童話集に入れられなかったという作品を含む20編が収録されています。私がおぼろげながらも覚えていたのは、「泣いた赤おに」「むく鳥のゆめ」「町にきたばくの話」くらいでしょうか。意外と、覚えていないものですね(苦)。

今回一番印象に残ったのは、川を旅するビールびんのお話、「投げられたびん」です。それと、最後に収められている「ふしぎな花」。好き嫌いではなく、別の意味で印象的だったのは「五ひきのやもり」。これは、お読みいただけばわかっていただけると思います(笑)。

ひろすけ童話、大人になって読むと、なんていうか、とってもしみじみします。癒されるとか童心に返るとかそういうことではなく、本当に、とってもしみじみする。やさしい言葉で丁寧に語られる物語の中には、ああよかったね、とか、これは可哀想すぎる、とか、そういう次元を越えた不思議な情感が流れ続けているような気がしました。少し古めかしい日本語も、一役買っているのかもしれませんね。
2006.11.18



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