ミステリー

畠中恵

どっちかというと「しゃばけ」などの時代物で有名な人なんですが、そちらの紹介を出してないことが今更発覚(苦)。仕方ないのでこちらに出しておきますー。

「百万の手」
創元推理文庫 2006(単行本は東京創元社 2004)

中学2年生の夏貴は、父を亡くして母と2人暮らし。父の死後、母がどんどん自分への執着を強めているのに困惑しつつ、日々を過ごしていた。精神的に追いつめられると起こる過呼吸の発作も悩みの種だ。そんな彼を支えてくれていたのは、幼なじみの親友、正哉だった。しかしある日、正哉の家が火事に遭い、両親を助けようと飛び込んでいく正哉を、夏貴は止めることができなかった……。

ファンタジーファンの皆様には「しゃばけ」をはじめとする「若だんな」シリーズでおなじみ、畠中恵の現代小説です。文庫待ちをしていたはずなんですが、買った後は積んでありました。愛が足りない模様です(笑)。

ええと、前半はちょっとホラー、後半は医学サスペンス、かな。ホラーと言っても恐いというほどのものではなくて、死んでしまった親友が形見の携帯電話から話しかけてくる、という程度です。そして、そこから物語が始まります。正哉の頼みで、彼の家が火事になった原因を探っていく夏貴が出会うのは、正哉の「妹」である少女とその家族、マンションから身を投げた少年の父親、そして、不妊に悩む人々に福音をもたらした昔なじみの医師の真実の姿。なんとなく、もっとホラーな展開を見せるのかと思っていましたが、そうでもなかったですねー。ちょっと内容詰め込みすぎの気もしますが、割と意外な展開で、面白かったです。

主人公の夏貴は、ちょっといい子すぎるくらいのいい子です。だから、私には読みやすかった(笑)。夏貴の義理の父親になる東がなかなかいい感じのキャラクターで、ものすごく悲惨でもあり得る状況をさりげなく救ってくれる、それも良かったですねー。やはり、自信を持って決めつけてくれる人が、人生のどこかには必要なのかもしれません。

冒険、と言うにはあまりにも重い、一夏の物語。
夏貴はこの後、どんな大人になるのでしょう?
かっこいい青年に育ってくれそうで、楽しみですね。
2006.08.08



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