ミステリー

谷原秋桜子

ライトノベル系でデビューして、その後は休筆。2006年から執筆を再開したという、青春ミステリーの人(? 今のところそんな感じ)です。ふんわりした感じがあって、今後が楽しみ。

「天使が開けた密室」
創元推理文庫 2006(元本は富士見ミステリー文庫 2001)

スペインで行方不明になった父を捜しに行くため、日々アルバイトに励んでいる美波は高校1年生。母は女優と言ってもおかしくない程の美女で天使のように純粋な人。でも、父が行方不明になってからすっかり老いこんでしまった。何としてでも父を捜し出し、家に戻ってきてもらわなければ。けれど、高校生の美波にできるバイトは限られている。しかも、ある日、バイト先のコンビニでお客様の持っていた高価なお皿を割ってしまい、弁償させられるハメに。コンビニも当然クビで、進退窮まった美波は、知り合いに紹介された割の良いバイトを引き受けるが、それは葬儀屋さんの深夜の死体運搬係で……。

なんだかとってもライトノベル感覚だなあ、創元なのに、と思っていたら、これは元々、本当にライトノベルとして発表されていたシリーズのようです。当時のシリーズ名は「激アルバイター美波の事件簿」。さもありなん、という感じですねー(笑)。でも、中身は意外とちゃんとしたミステリーで、キャラクターも面白いです。とっても楽しく読みました。ヒロイン、美波の親友、直海とかのこが素敵ですねー。なんだか、やまさき貴子のマンガ「若菜&紫野」シリーズとかを彷彿させる感じ。……って、誰も覚えてないかも?(汗)。

ヒロインの美波は引っ込み思案で泣き虫の女の子、ってことになってますが、それ、どうなんでしょう? と、そこだけは大いに突っ込みたくなりました。いえ、確かによく泣いてるんですが、地の文章での性格が、あんまりそういう感じじゃなくて、言ってることとやってることのギャップが大きいような気がしてしまうんですよね。それとも、こんな風に感じるのは私がすっかりおばさんだから? 若い者が理解できてない?(涙)。

出てくる猫も犬も可愛い、ライトなミステリー。今後も続刊が出るそうで、楽しみです。ちなみに、探偵役は美波ではなくて、お隣の超美形(?)大学生、修矢です。今後の2人の関係も気になるところ。

それにしても、深夜の病院で死体運び……。
まあ、多分きっとそんなことも。
2006.12.09

「龍の館の秘密」
創元推理文庫 2006(元本は富士見ミステリー文庫 2001)

スペインで行方不明になった父を捜しに行くため、今日もアルバイトに励む美波。でも、夏休みも終わり近く、今からはそんなにいいバイトは入れられそうもない。そんなとき、前にあのとんでもないバイトを紹介してくれた武熊さんが帰国し、お詫びにと1日2万円というおいしいバイトを紹介してくれた。なんと、そのバイトの内容は「托鉢」で……。

前回あんな目に遭ってるのに、何故信じるかなあ? 美波。
という感じで、やっぱりバイトはとんでもないもので、しかも、そこでの飲み会で正体を失った彼女が目覚めたところは京都。事件は、京都の山中に立つ、天才画家の遺した「龍の館」を舞台にして起こります。親友のかのこや直海もやってきて、相変わらずの楽しい推理劇を繰り広げるのです。

ってことで、仕掛け屋敷を舞台にした楽しい青春ミステリーでした。でもやっぱり、ヒロイン、内気っていうのとは違う気がするなあ……(笑)。今回も、お隣の賢い猫、ケンゾウが大活躍。いいですねえ、賢い猫。

一緒に入っている短編は、いわゆる「治験バイト」のお話。いやあ、いくらなんでもこんなことは?(笑)。
2006.12.23



トップへ
戻る
前へ
次へ




SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送