ファンタジー・海外

Philip Pullman
フィリップ・プルマン

近年のファンタジー作家の中で確固たる位置を占める実力派。人気の「ライラの冒険」、翻訳版はハードカバーだったので、洋書読みになってからPBで読みました。そうしたら、あっという間に文庫化(笑)。後から日本語で読んでみたら、なんだかちょっとイメージが違いました。

"His Dark Materials"(ライラの冒険)シリーズ
"The Golden Compass" 1995
「黄金の羅針盤」
大久保寛訳 新潮社 1999
"The Subtle Knife" 1997
「神秘の短剣」
大久保寛訳 新潮社 2000
"The Amber Spyglass" 2000
「琥珀の望遠鏡」
大久保寛訳 新潮社 2002

オックスフォードの学寮で、やりたい放題のお転婆娘として育った少女ライラ。けれど、ある日学寮を訪れた叔父、アスリエル卿の毒殺を阻止した時から、彼女の運命の歯車が回り始めた。オックスフォードの、そしてイギリスの各地でさらわれる子ども達。暗躍する謎の組織。やがて、彼女の親友にも魔の手が及び……。

最初から最後まで、怒濤の物語が展開される、ジェットコースターストーリー。熱烈なファンも多い模様です。骨太な構成ですし、なかなか読ませます。キャラクターの造形もそれなりに深い。確かに、面白い本です。でも、私は、そうですねー、やめられなくてどんどん読みましたが、最後、「ああっ、しまった、涙でごまかされた」と思いました(笑)。すごく力のある作品ですし、読む価値はあると思うのですが、マイベストには上げないな、というところかも。ここまで来ると、単に相性の問題とも言います。

英語で読むことに関しては、なんとなく、「難しそう」というイメージが先行しているみたいですが、1、2巻はそんなでもないです。そして、3巻目になるともはや難しいとかそういうことはどうでもよくなってる(もしくはそれ以前に挫折してる)ので、読み始めてしまえばさくっと読めますよー。

ちなみに、児童書系ファンタジーから入った方には、英語の問題以前に内容が難しい、という部分があるのかも、ですが、根っこがSF系の方には3巻も楽勝です。ちょっと、ゼラズニイあたりを思い出させるな、と思いながら読みました。


"The Firework-Maker's Daughter"  1995
「花火師リーラと火の魔王」 フィリップ・プルマン著 なかがわちひろ訳 ポプラ社 2003

幼い頃に母親を亡くした花火師の娘リーラは、父の仕事場で父の仕事を見ながら育ち、いつの間にか一緒に花火を作るようになった。創意工夫の才に恵まれた彼女の思いついた花火は人気を博し、彼女はいつか父のような一人前の花火師になろうと思っていた。しかし、実は、彼女の父はそんなことを望んではいなかった。一人前の花火師になるために必要な最後の何か、それを父は彼女に教えようとしない。友人の口からその秘密の一端を知ったリーラは、家を飛び出し、火の山への旅を始めるが……。

子ども向けの短編。アマゾンでバーゲンになっていたので何となく買いました。で、検索してみたら、これって、日本語版で読めば「悪魔コレクション」に含まれる1冊?(笑)。でも、この本の中のあれって、魔王ってイメージじゃないんですよね。英語で読んでいたので、普通に、火の精霊王だと思ってました。

というわけで、これは西洋風のファンタジーではなくて、インドもしくはその辺のアジアの昔話を模したお話です。子どもの頃に読んだ「アジアの昔話」とか、そういう辺りのお話にとても似た雰囲気。ずいぶん東洋文学を読んだんだろうなー、と思っちゃいました。いえ、別にとってつけたような感じではないです。そのまま、これはインドのお話だよと言われても不思議には思わないくらいですねー、私程度のレベルだと(笑)。どこかのんびりしていて、大らかで、でも、転がるように話が進む、おきまりのパターン。なんだか懐かしい感じがしました。もちろん、新しいお話のはずなんですけれど。

圧巻なのは、やっぱり、花火のシーン。日本の花火大会とはずいぶん違って、なんだかすごいです。もう夏も終わりですが、もう一度、花火を見に行きたくなりました。
2005.08.31



トップへ
戻る
前へ
次へ




SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送