ファンタジー・海外

Diana Marcellas
ダイアナ・マーセラス

新世代作家の1人。まだ、評価は定まっていないのかもしれません。よろめき系(笑)ファンタジー。でも、根っこのところは、ル・グィンなどの流れをくむ、文化人類学系ファンタジーなのだと思います。

今のところ、出ているのは処女作であるこのシリーズだけです。

"The Witch of Two Suns"(シャーリアの魔女)シリーズ
「海より生まれし娘」
関口幸男訳 早川文庫 2003
"Mother Ocean, Daughter Sea" 2001
「夢の灯りがささやくとき」
関口幸男訳 早川文庫 2004
"The Sea Lark's Song" 2002

二つの太陽を持つ異世界。そこには、かつて、「シャーリアの魔女」と呼ばれる力ある女性達が存在していた。アレマニ人の「大諸侯」がその地に移住し、やがて、疫病や誘拐を理由に彼女たちを迫害し、滅亡に導くまで。けれど今も人々は恐れる。夜の炉端の物語として。「大諸侯」たちの厳然たる掟の下でさえ、今も存在しているかもしれない魔女を。彼女たちのもたらす災いを。

己の力を否定し、ひた隠しにしたまま暮らした母から「シャーリアの魔女」の血と力を受け継いだブライアリーは、母とは反対に、その魔法の力を生かして生きていくことを選び、治療師として、産婆として、ひっそりと人々の間に暮らしていた。正体が知られればそれは即、死につながるとわかっていても、彼女は助けを求める人々の「呼声」に応えずにはいられなかったのだ。しかし、その力は、「呼声」は、彼女を平和のままにしておいてはくれなかった。
人々が恐れ、迫害する「シャーリアの魔女」とは一体何者だったのか? 彼女たちの存在は、本当に許されないものなのか? 勝者の側の書いた歴史に隠された真実とは? 絡み合う様々な謎を抱えたまま、ブライアリーの旅は今始まる………。

と、こんな感じでしょうか?
完全に大人向けの、陰謀いっぱい謎いっぱい、ラブロマンスもありのエンターテイメント系(?)のファンタジーです。ただ、文章は結構重め。描写もきれいで繊細な、読み応えのある本でした。かなり女性的な文章なので、好みは分かれるかなーと思いますが、私は気に入りました。なんていうのかな、静けさが静けさとしてそこにあるような、そういう文章です。昔読んだ何かにすごく似ている気がするのにどうしても思い出せなくて、ちょっといらいらしています(笑)。

で、最近翻訳で出ました。第3部です。

「夜明けをつげる森の調べ」 関口幸男訳 早川文庫 2005
"Twilight Rising, Surpent's Dream" 2004

第2部は原書で読んだんですが、第3部は何故かPBの刊行が遅れて(日本で手に入らなかっただけ?)いて、とうとう先に翻訳が出てしまいました。最近やっと予約がかけられるようになって、予約したばかりだったのにー(涙)。PBが届くまで待つのはいくらなんでもシャクなので、諦めて日本語で読みました。ううううう。英語の方が良かったなあ。

様々な危機を乗り越え、安息の地と今もどこかにいるはずの他のシャーリアの魔女を求めて旅を続けるブライアリーと養い子のメガン、そして、彼女を守る忠臣ステファン。彼らが目指していたのは、メルファランの妻、サレイの故郷に当たるミオンの地。ウィッチメアー近くに残され、メガンが読み取った記憶にあった、緑の服の少女は、この地にいたはずなのだ。そして、そこで彼らは、「森」の資性を持つ双子の姉弟、アシュドラとウィルに出会う。2人は、森の魔女の知識と力を受け継ぐ、「星井戸」の守り手だった……。

実は、私はこのシリーズ、3部作だとばかり思っていました。どこかにそう書いてあったのかなあ。PBのチェックをしていたときも、そう信じて疑わなかったし、今回読んでいても、これで片が付くのだと信じ込んで読んでいました。「ええー、これで本当に最後まで説明できるのかなあ? 後これしかページがないけど」みたいな。そうしたら……終わっていませんでした(苦)。いつのまにやら、3部作ではなく、長大なシリーズに変更になっていた模様。い、いつの間に? それとも、最初から? 「四大」だから、4部作っていうのもありかなとは思ったんですが、そういう展開でもないですしねえ。ううーん。

というわけで、実は、あまり話が進んでいません。展開はあったのですが、それについての説明がなされていない。つまり、とっても中継ぎ、という感じの巻。しかも、まだ原書でも4巻は出ていないんですよねー。うわー。

「海」の魔女ブライアリー、「火」の魔女メガン、「森」の魔女アシュドラ、「気」の魔女エヴァイン。とうとう4人が揃って、お話はこれからです。メルファランの治めるヤーヴァンネットにも、避け得ないテジャルとの戦が近づいています。ばらばらだった糸が結ばれ始め、物語は進んでいく……のですが、先は長いです。っていうか待ち時間が?(笑)。サレイのことがどうしてもひっかかるので、ロマンス小説としては微妙。メルファランには、もうちょっとしっかりしていただきたいものです。
2005.12.02



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