ファンタジー・国内

雪野紗衣

美形がいっぱいの、女の子向けラブラブゲームのようなお話を書く人、という印象があります。先が楽しみです。

「彩雲国物語」
角川ビーンズ文庫 2004, 2005, 2006
(本編10冊、外伝2冊)

秀麗は、血筋の上では彩雲国でも指折りの名門、紅家直系のお嬢様。しかし、お人好しで本の虫の父親が紅家の当主にはふさわしくないとされたため、首都貴陽の小さな屋敷でつつましく育った。というより、はっきり言って赤貧。子供の頃から賃仕事に精を出し、家事万端を取り仕切り、道寺で子供達に勉強を教えるという働きづめの毎日を送ってきた。けれど、ある日、その彼女を見込んでと、超おいしい仕事の話が舞い込んできた。報酬は金500両。勢い込んで頷いた秀麗に、依頼主は、「後宮に入って王の妃になって欲しい」と告げた……。

中国風異世界ファンタジー?
結構以前から気になっていたシリーズなんですが、今年になってとうとう読んでみました。ちまちま読んできて、最後はがーっと(笑)。なんでも、この春からアニメ化もされるのだそうです。どうやら今でもかなり人気がある模様。確かに面白いです。色々な意味で。

うーんと、でも、先にこれだけは言っておきましょう。「極彩色ファンタジー」と銘打たれていますが、これはファンタジーファンがファンタジーとして読むようなファンタジーではありません(笑)。将来的にはもうちょっとそうなるのかな、というところまで話が来ていますが、現時点ではその設定は生きてきていません。ちょっと色づけに使われている程度。まあ、なんと言ってもビーンズ文庫ですし、誰もそこまでは期待していないかもしれませんが、一応(笑)。

という状況なんですが、私は結構はまって楽しく読みました。このシリーズ、イラストのせいもあって、とってもとってもとってもラブラブゲームな感じ(笑)。設定も展開も、まるで女性向け恋愛ゲーム(爆)。どんどんどんどん癖のある美形が出てきて、かっこいいおじさまもかっこいいおじいさまも出てきて、しかも性格が悪かったりして……うっとり(笑)。ヒロインは、女王やお妃様を目指すのではなく女性官吏を目指すんですが、それはそれでなかなか面白いです。政治的駆け引きはまだまだこれからって感じですけどね。

ヒロインは、すごく頑張る、めちゃくちゃいい子です。その点で好き嫌い分かれるだろうな、と思うんですが、私は昔からいい子ちゃんが好き(笑)なので、その意味でも楽しく読んでいます。でも、さすがにこいつ鈍すぎ? とは思ったりしますけどね、それが伏線だとされていても(苦)。

で、とにかく美形にあふれているこのお話、誰を応援するかと言われると、私は静蘭に弱いです(笑)。ええ、昔からこのタイプに弱くて(爆)。大人チームだと誰かなあ? やっぱり黄奇人かなあ、美形度が違うから……。じじいチームだと……いえ、いいんです、放っておいてください(笑)。
2006.03.05

「彩雲国物語:紅梅は夜に香る」
角川ビーンズ文庫 2006

本編第9巻です。アニメ(←見ていない)になったりマンガ(←こっちは読んだ)になったりと色々と盛り上がっているらしいこの作品、うーん、やっぱりどう読んでも女の子ラブラブゲームみたいな?(笑)。いえ、私はとっても楽しく読んでいます。

初めての赴任先、茶州で怒濤の時期を過ごした秀麗。だが、王都に戻った彼女は、茶州での責任を取らされて官位を剥奪され、冗官として辛うじて籍は残るものの当面は謹慎という厳しい処分を受ける。
自分のしたことに後悔はない。この処分も当然だと思う。けれど……。
それでも、秀麗は自分にできることを探して町を回り、市政の人々の声に耳を傾ける。そんなある日、金のタヌキを抱えたヘンなおぼっちゃまが彼女にいきなりプロポーズを。

ふ。小粒だけど、やっぱり笑いながら楽しく読んでしまいました。
実は割と奥深いテーマがある話だったんですが、それでも(苦)。

頑張ることって、とにかくひたすら頑張っちゃうことって、それだけで周囲に負担を掛けることもあるんですよね。そして、そんな風に頑張れない他の人にいらぬ圧力をかけてしまうことも。
頑張ることはいいことだと、必要なことなのだと思ってはいますが、人生色々ですからねー。うーん、もう、若くないなあ(笑)。

今回、おじさま方があんまり活躍してなくて、それがちょっと残念でした。黄奇人なんて、ほとんど出てこないと一緒ではー?(涙)。次回はぜひともあの麗しいお姿を(爆)見せていただきたいものです。
2006.09.01

「彩雲国物語:緑風は刃のごとく」
角川ビーンズ文庫 2006

本編第10巻です。
謹慎期間が終わり、冗官としてとはいえ、やっと出仕を許された秀麗。しかし初出仕の朝、書翰が届いた。そこには、「ひと月のち一斉免職に処す」とあった……。
即時免職ではない。与えられたのは1ヶ月の猶予。その間に誰かに己の有用性を認めさせ、首をつないでもらうのだ。相変わらずどこまでも前向きな秀麗だが、それなりに免職には衝撃受けた他の冗官たちが教えを請い始めたために、自らの売り込みもままならない多忙な毎日に。
一方、朝廷内では貴族派による陰謀が進行し、城下では塩の値段が上昇し始めていた。

ええとー、今回は相当シビアなお話でした。
ラブラブ路線はちょっとお休み、ということでしょうか(笑)。
これまで、とにかく突っ走ってきた、周囲もそれを認めて守ってくれていた、守られていた秀麗。それがどれほど希有のことだったのか、その中で、自分がどれだけ甘ちゃんだったか彼女自身が知らなければ、きちんと自覚しなければ、彼女はもうそれ以上先へは進めない。と、そういうお話。私ももっと若かった頃なら、この話、結構痛かったかもしれません。今は、ああ、まあ、それはそうよねー、と(笑)。1人でどこまでも突っ走ってしまえる大天才ならともかく、普通の人間(でも、秀麗も秀才ではある)が、それも、官吏という、組織の中で働くべき人間がそれでは、できるできない以前に問題ありすぎですからねえ……。

というわけで、今回の2冊は、ある種の前哨戦といった趣でした。お楽しみはこれから? 新たな、とっても性格悪そうな美形おじさまも出てきたことですし、性格の悪いライバルもできたことですし、楽しみですねー。でもそれ、キャラクター多すぎ?(笑)。

時々、職場で、「本当にできる人ってどんな人だろう?」という話になります。本当にというより、「上に持ちたい」できる人かな。性格の問題は置いておく(一応、普通につきあえる人格であることは大前提)として、能力的に。そして、私達が第一にあげるのは「全体像を見ることができる」ということ。その仕事全体という意味でも、時系列にした場合のどの段階をもという意味でも。悠舜さん、本当にすごいですねー。秀麗にも、ぜひとももっと頑張ってもらいたいものです。でも、まだまだ若いですもんね(笑)。
2006.09.30



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