ファンタジー・国内

夢枕獏

ああああああ、この人の本も昔は沢山読んでいたはずなのにー。
というわけで、また後日(汗)。

「鬼譚草紙」
天野喜孝画 朝日文庫 2006(単行本は朝日新聞社 2001)

当代随一の文才を持ち、容姿端麗だがどこか人を寄せ付けない雰囲気を持つ小野篁。彼には様々な噂があり、その中に、いつも年若い女性が彼に寄り添っているというものがあった。彼ならばさもありなんと人々は考えているようだったが、実際にその女性の姿を見た者はいない。しかし、篁にひとかたならぬ関わりを持つ高藤卿はある日、神泉苑でその女性と会っている篁を垣間見てしまう。女性は、明らかにこの世の人ではなかった。のぞき見をしたことを黙っていることに耐えきれず、それを打ち明けた高藤卿に、篁はとある昔語りを始めた。それは、実の兄妹の、激しい恋の物語だった。

平安時代の深い闇には、人と鬼と、想いのあまりに鬼と化した人々が棲んでいた。
そんなイメージの、そしてやはり「陰陽師」につながる部分の多い、夢枕獏の鬼の物語集です。Hな本を目指した(笑)ものであるということで、そういう作品集でもあります。絵がなかなかすごいものが多くて、電車の中で読むには不向きだったという……。絵草紙、と呼ばれた本達が昔あったわけですが、確かにこれはいかにもそういう感じの本で、絵も大事。というわけで、大変でした(笑)。でもやっぱり、綺麗です。言葉も、雰囲気も、世界も。ある意味、「これってでも、男の人の夢よねー」と思ったりもするのですけれど、それでも。

そして、語られる恋の物語よりも、読んでいて私が心ひかれたのは、鬼にも通じるほどに「物を書く」ことに心を傾けた文人達の姿でした。ある意味、女性は邪魔ですね(笑)。ああ、でも、鬼と化すほどに思いをかけるという意味では同じことなのでしょうか。それが人であれ、芸術であれ、何かに心をとらわれるということ、どうしても手に入れたいと願うことは、1つ間違えば人を鬼に変えてしまうことなのかもしれません。

ところで、作中の漢詩、解説がないので、私はちゃんと意味をとれているかどうか自信がありませんー(汗)。
2006.10.17



トップへ
戻る
前へ
次へ




SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送