ミステリー

Donn Winslow
ドン・ウィンズロウ

軽妙洒脱な会話と、皮肉なユーモアが魅力です。昔から大好きでした。ただ、寡作なんですよねー。原書にしても翻訳にしても、冊数が少ないんです。でも、紹介はまだ(汗)。
とりあえず、最近読んだ分だけ出しておきます。

「ウォータースライドをのぼれ」
東江一紀訳 創元推理文庫 2005
Don Winslow "A Long Walk Up the Water Slide" 1994

田舎の町で恋人カレンと静かに暮らすニールのもとに、養父グレアムがやってきた。カレンは彼を歓待し、にこやか世話好き主婦に変身する。だが、もちろん、彼が現れたのはニールにやっかいな仕事を押しつけるためだった。
人気TV番組ホストのレイプ疑惑。被害者の女性はしゃべり方に難があり、そのままでは証言に立てない。ニールは、彼女に、陪審員を納得させるような言葉遣いと態度を叩き込むことになる。だが、問題はそれだけにとどまらなかった……。

もう絶対翻訳されないと思っていましたが、なんと出ていました。
ドン・ウィンズロウのニール・ケアリーシリーズ、第4巻です。びっくり。ホーギーといいこれといい、一体今年はどうしたんでしょう? よほど翻訳物のネタにつまっているんでしょうか(笑)。でも、何であれ、訳されたのはめでたいことですし、嬉しいです。この巻、私が探したときにはPBでも入手不可になってたんですよー。ユーズドで探さないといけないかと思ってました。これで、買ってある5巻も読めます。やれやれ。

気の利いた会話と一癖も二癖もある駆け引きが何とも言えず魅力的。このシリーズはこれまで、割とシリアスだったんですが、この巻は意外とはじけてますねー。その後に書かれた軽快な感じの単発作品に雰囲気が近い気がします。でも、ウォルター(涙)。そうか、これが先で後から書かれたのが「歓喜の島」……。私はあの本の彼が気に入っていたので、今回ものすごく悲しかったです。

というところでしょうか。詳しくは読んでのお楽しみ。これは、どこをどう感想言ってもネタバレになる本だと思います。あ、そうだ、私、この本の原題を見てずーっと「Water Slideって何だろう?」と思っていたんです。で、今回見てみたらそのまんまでした。大きなプールにあるウォータースライダーのことなんですねー。水の流れる滑り台。あ、そういえば、出てくる巨大スライダーを作ったのはなんだか怪しい日本人。あれ、絶対変すぎますー。
2005.08.09

"While Drowning in the Desert" 1996

4巻が翻訳されたので晴れて読めるようになった5巻。でも、私としてはこんなに早く読むつもりはありませんでした。ところが、旅行に出かける日の朝、持っていく本を選ぼうとしたら、次に読もうと思っていたPBはあまりにも重い(物理的に)。こんなのカバンに入らないー、と思って近いうちに読むつもりの山を見ていたら、この本があったんです。で、持ってみたら軽い! 薄いし字もそんなに多くないし、楽勝コース。というわけで、旅のお供に持っていって読みました。何が幸いするかわからないものですねー。

さて、今回のお話。
結婚式の日も近づいて、幸せいっぱいのニールとカレン。しかしその日、彼がカレンに頼まれて冷蔵庫からダイエット・ペプシの缶を取り出した時、運命のベルが鳴った。そして、30秒後にもう一度。彼は、電話の向こうにいるのが誰なのかをもちろん知っていた。
今度の仕事は極めて単純。ラスヴェガスのホテルに滞在したまま家に帰ろうとしない老人を、無事に家まで送り届けること。
しかし、もちろん、運命はニールにそれほどやさしくはなかった……。

会話と語り口がかっこいい、相変わらずかっとばしたお話です。これが最終巻なんですよね。1巻の翻訳が出たのって、もう大昔な気がします。あの頃は若かったなあ(遠い目)。もちろんずっと日本語で読んでいました(笑)。

読んでいてしみじみ思ったのは、話の内容よりも何よりも、「やっぱり、本を読んで笑うには、かなりわかってないとだめなんだなー」ということでした。文章の中身が半分くらいしかわからなくても、泣ける部分は泣けます。でも、笑うことはなかなかできない。今の私は英語でこういう本を読んでも、ずいぶん笑うことが出来るようになりましたが、昔はだめでしたねー。ということはそれなりに進歩が?(笑)。ちなみに、文章自体は割と読みやすくて簡単です。ただ、笑うには理解が必要かなーと。

というわけで、つまりこれは、爆笑に継ぐ大爆笑の、ある種のロード・ノベルです。キャラクターがそれぞれコミカルで、とっても楽しい軽い読み物という感じ。もちろん、ニールは相変わらず悩みが深いし、人物造形は確かなのですが、あえて軽く描くというか、軽さへの挑戦というか……。

まだ世の中がこんなにパソコンになる前の、今ではちょっと懐かしい時代のお話。砂漠でどうやって溺れるのかは、読んでのお楽しみです。
2005.08.26



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