ミステリー

Alexander McCall Smith
アレグザンダー・マコール・スミス

アフリカの広大な自然を背景に、ゆったりしたペースで語られる、地に足のついた人々の物語。とっても素敵です。
じゃなくて、1、2巻、私ここに出してなかった……?

「1レディーズ探偵社、引っ越しす」
小林浩子訳 ヴィレッジブックス 2006
"Morality for Beautiful Girls" 2001

ミス・ラモツエの事件簿、第3巻です。前の巻までの人間関係のネタバレを避けたい方は、この先は読まないで下さいね。アフリカ、ボツワナを舞台にしたこのシリーズ、日本の日常とは全く違う、どこかゆっくりゆっくりした時間の流れと、地に足のついた人々の生き方がとても魅力的な、心癒されるお話です。今回も、まるで別の世界に旅したかのような時間を過ごすことができました。

ボツワナ唯一の探偵事務所として、迷える人々に力を貸す1レディーズ探偵社。だんだん名前も知られるようになってきたけれど、依頼人には貧しい人も多く、赤字続きの毎日。少しでも経費を浮かせ、経営を軌道に乗せるため、マ・ラモツエは、婚約者ラ・マテコニの自動車修理工場の建物に事務所を移すことにする。自動車の修理の腕は最高だが、書類仕事はためこみがちのラ・マテコニの仕事を秘書のマ・マクチに手伝ってもらい、その分、彼女のお給料を負担してもらえば、彼女を雇い続けることもできるのだ。
そんな折、国の重要な地位にあるお役人が、弟の妻が夫の毒殺を狙っているから調べて欲しいとの依頼が……。

というわけで、今回は、半分くらいは事務所の引っ越しとそれにまつわるお話です(笑)。っていうか、引っ越し自体はあっという間(←すごく羨ましい)で、その前後のお話が長いです。探偵仕事はちょっとだけ。そこがまた、このシリーズの楽しいところですよね。

「昔ながらの」ぽっちゃり体型のマ・ラモツエ。今回も、カロリーを気にせずでっかいケーキを食べています。暑いから太れない、というのはやっぱり人間には当てはまらないことなのでしょうか。牛も犬も太ってないよなあ、暑い国って。それとも、あれは餌が少ないから? 牛についてのお話は、今回もしみじみくるものがありました。それに、女性(と結婚)についてのお話も。あんな風に暑くて、あんな風に乾いている国では、やっぱり人は本当に大切なことだけを考えるようになるのでしょうか。

ところで、今回は秘書のマ・マクチの活躍がとっても楽しかったです。有能な秘書さんっていいなあ(遠い目)。
ラ・マテコニのことがちょっと心配ですが、シリーズのこれからの展開が楽しみです。でもやっぱり、翻訳待ちかな(笑)。このシリーズ、結構PBでも高いんですよね。って、文庫もこの程度の厚さで820円か……。微妙?
2006.8.24 



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