ファンタジー・国内

中山星香

ファンタジー系少女漫画の、今となっては重鎮の1人? まだそこまではいかないでしょうか? でも、最近のライト系のファンタジー漫画とは一線を画す、エピック系ファンタジー漫画の描き手として、昔からずっと活躍してきた人ですよね。私は大昔からファンです。コミックスもほとんど持っています(苦)が、ご紹介はとりあえずこれだけで。

「妖精国(アルフヘイム)の騎士」(全54巻)
秋田書店 1986-2006

風のよりしところ、という意味の名を持つ美しい国アルトディアスには、古より3本の剣の伝説が伝わっていた。そして、そのうち2本は今も城に大切に保管されていた。優しく美しい両親に愛されて大切に育てられた双子の王子と王女、ローラントとローゼリィは、ある歳の誕生日、その剣を抜くという試練を受ける。ローラントは首尾良く「銀(月)」の剣シルヴァンを抜くが、ローゼリィには「光(星)」の剣ルシリスを抜くことは出来なかった。しかしその夜、城は襲われ、絶対絶命の危機に遭ったローゼリィは左手で剣を抜き放つ。それは、彼女の重き運命の始まりとなった……。

中山星香の長編本格ファンタジー漫画「妖精国の騎士」がとうとう完結しました。というわけで、これはさすがに出さないわけにはいかないかなあと。ええと、こちらでご紹介したことは一度もないし、多分、話の種に出したこともないですが、私は大昔からこの人のファンで、コミックスは全部買っていました(文庫版は買っていないので、今持っているのは全部ではないです)し、カレンダーとかが出ていた頃にはそれも買っていました(笑)。ほとんどデビュー当時から読んでいましたから、かなり年季の入ったファンですねー。

そんなわけで、20年の長きにわたって続いてきたこの物語も、ずっとずっと読んできました。さすがに、プリンセスを買うのは途中でやめてしまいましたし、雑誌を移ってからは読み逃すこともあったのですが、ほぼリアルタイムだったのかなあ。連載が始まった頃は私もまだ若かった(笑)。色々な思い出と共にこの物語がある、そういう感じがします。

ええとそれで、内容的には、エピックファンタジーの系譜というか、「指輪物語」の影響を強く受けた、本当に本格的なファンタジーです。永遠の命と大きな力を持つエルフ達が出てきて、闇の神々も出てきて、破滅をもたらすと言われる運命の剣に選ばれた王女様が主人公の波瀾万丈の物語。伝説と、魔法と、剣。恋と友情と戦い。様々な要素がちりばめられた、タペストリーのような作品です。個人的には、「指輪」影響下の日本のファンタジーの中では、出色の出来だと思っています。しかもこれは漫画。ヴィジュアルで見ることができるというのは、やっぱり大きいですよね。それもまた、日本的と言えば日本的ですが。

さて、主要登場人物だけで何人いるんだかもわからないこの長大な物語、私が一番好きだったキャラクターは、見た目では「闇の君」オディアル・ルーフィフス。そして、やっぱり性格その他では陽の剣の主人アーサーかなと思います。いえ、ローゼリィも好きですけど、単に趣味の問題で(笑)。どんなことがあっても、どれだけ置いていかれても、決してこりずに穏やかに笑えるアーサー君、絶対に大人物ですよねー。ローラント、最後まで負けてました(爆)。ちなみに、若い頃は性格も文句なしにオディアル・ルーフィフスだったような記憶が……。若さって無謀だなあ。

最終巻、結構加筆されていました。雑誌掲載時点でのラストって、「マジ?」って感じのものだったので、ちょっと安心(笑)。そして、この後、後日談が4作は描かれるのだそうです。だから、本当は55巻が出て、それで完結になるのかも。でも、とりあえず本編はこれで終了。本当にお疲れ様でしたと申し上げたいですねー。一緒に過ごした長い年月、とても楽しかったです。そして願わくば、「三剣物語」の残り2部がきちんと描かれるまで、お互い生きていられますように。さすがに、こんな長編にはならないですよね? ね?
2006.12.15



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