ファンタジー・国内

高野和

新しいライトノベルの書き手の1人です。
このシリーズ以外を出しているのかもチェックしていません(汗)。
全体に、不思議な透明感の漂うやわらかい作風。大好きかと言われると微妙ですが、気になる作家の1人かな。

「七姫物語 第三章:姫影交差」
電撃文庫 2005

四宮の追放により、一時は沈静化した東和の国の内乱。しかし、春が訪れる頃、再び、戦の気配が漂い始めた。七宮を奉じる新興都市カセンに旧四宮ツヅミをおさえられた三宮ナツメが、なんとか巻き返しを図ろうと動き出したのだ。そこに、他の都市の思惑も絡んで、宮姫達も動き出す。だから、東和七宮空澄姫を名乗る「私」も、これまでのままではいられない……。

前の巻をご紹介していません(汗)。そ、そのうちに……。

実は、この物語の1巻目を読んだとき(その時点では続きが書かれるのかわからなかった)、私は、展開のあまりの気に入らなさに、似たような設定の全然別の物語をでっち上げてしまったという過去があります。だから、すごくおすすめかと言われると正直よくわからない。でも、私が読んだ本を評価する基準の一つに「触発されて何か新たな物語を思いつくかどうか」というものがあって、その意味ではこの物語は一級品だったということに(笑)。3巻目のこの巻は、大分面白くなってきましたので、今だったらただ読んでいただけかもしれないのですけれど。

この物語のヒロイン、空澄姫は、まだまだ幼い雰囲気の残る女の子。自称他称で7人いる、東和七姫の末の姫です。彼女の存在はある種の騙りでしかないのですが、そこには時代の要求と、人々の望み、そして彼女自身の穏やかな意志があって、物語全体に不思議な透明感を与えています。政治向きや戦の話が多くて、意外と複雑なお話なんですが。

刊行ペースが遅いので、忘れた頃に出ています。
まあ、このくらいの方が、私に積まれなくていいのかも(笑)。
2005.05.20

「七姫物語:第四章 夏草話」
電撃文庫 2006

戦いの末、四宮琥珀は去り、三宮常磐をいただくナツメと七宮空澄をいただくカセンは講和を結ぶこととなった。2人の姫は揃って人々の前に姿を現し、平和を誓う。一方、一宮と二宮の間には不穏な空気が。七人の宮姫をいただく東和の国に、再び動乱の季節が巡ろうとしている。空澄姫としての役割を一時解かれたカラは、守り手の少年ヒカゲと共に町を歩き、市井の人々の声に耳を傾ける。人々の願う未来はどんな未来なのだろう。彼女の目指すべき国の形はどうあるべきなのだろう。そして……。

より大きく物語が動き始める前の、幕間に近い時期のお話です。陰謀を巡らす大人達が、陰で様々な布石を打ち、宮姫たちもまた、次なる策を講じ始める中で、まだ自分が子供であることを自覚しているカラだけが、やわらかでまっすぐな眼差しで世界を見つめている、そんな感じの物語。

ちょっと物足りないかなあという気もしますが、本当は、そういうものなのかもしれません。ただの子供が大人達に混じって戦争して、政争して、なんて、あってはいけないこと、あり得ないことですよね。

自ら選んだ運命として、宮姫としてあり続けるカラ。他の宮姫たちもまた、それぞれの事情を抱えて立っています。子供の頃に読んだのなら、あるいはもっと憧れて、はまって読んだのかもしれません。今は、そうですね、やっぱり夢物語だと思ってしまいがちでしょうか。

このシリーズを最初に読んだときに思いついた物語は、今も私の中にあります。きっと書くことはないでしょうけれど。私の中の姫君は、やっぱり、もっとずっと厳しい性格(笑)。なかなか、難しいものですね。
2006.09.08



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