ファンタジー・国内

高楼方子

いえ、ファンタジーという訳でもないんですが、他に入れると探せなくなりそうなので一応ここに。最近注目の児童書の書き手の1人ですよね。でもまだ読んだのは1冊だけです(苦)。

「十一月の扉」
新潮文庫 2006
(加筆改稿されているそうです。単行本はリブリオ出版 1999)

中学2年生の爽子は、ある日、弟の買った双眼鏡を覗いていて、不思議と心ひかれる素敵な家を見つけた。赤茶色の屋根の白い家。翌日自転車をとばして行ってみると、そこは「十一月荘」という名前の大きな木造の二階家だった。そしてその帰り道、立ち寄った文房具屋さんで見つけた端正なノートの表紙にはドードー鳥の細密画があった。それは、どうしても手に入れたいと思わせる何かを持っていた。
父親の転勤で、家族で引っ越すことになった爽子は、一大決心をして母親を説得。2学期の残り2ヶ月を「十一月荘」で暮らすことになる。そして、ドードー鳥のノートには、その日々の中から生まれた物語が書き綴られることになった……。

児童書読みの方々の間ではずっと話題になっていたこの本、とうとう文庫になったので読みました。最近、児童書を文庫にするのがまた流行ってきてるんでしょうか? 割と多いですよねー。助かります(笑)。

ということで、中学生の女の子が主人公。その年齢の対象に書かれたのかなあと思うのですが、私自身は、これ、大人の方が楽しめる本なのかもしれないな、と思いながら読みました。女の人ばっかりがこじんまりと暮らす、家庭的な下宿屋さんでの2ヶ月のお話。背伸びをしたり、頑張りすぎたり、自分を責めてしまったりしながら一生懸命に過ごす爽子の日々が細やかに描かれているのですが、彼女を囲み、支え、そして逆に彼女から力をもらっていると話してくれる十一月荘の大人の女性達の雰囲気が、とても素敵なんですねー。「アンの愛情」のパティの家が大好きだった人や、「からくりからくさ」の共同生活に憧れる人は、当然この本もお好きでしょう。私は好きです(笑)。

爽子の書いていく物語は、中学生にしてはできすぎよねって思いましたが、最近はすごい子はすごいもんなあ……。そして、書くことで現実を忘れられる、癒されるというあの感覚は、私にはとてもなじみ深い、懐かしいものでした。悩み多き中学や高校時代、私もああやって、消化しきれないいろんなことを物語に変えて、鉛筆でノートに書いていったものでした。素敵なノートを見つけると、何とかして手に入れて新しい物語を書き始めたくなる。あの頃のわくわくする感じを思い出して、楽しかったです。

ところで、この本の解説、凝っていてそれはそれで楽しいとは思うのですが、あれは私にはちょっと余計でした(苦)。読まない方が幸せだったのかも(笑)。男性と女性で、夢見るポイントって違いますよねー。
2006.11.01



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