ミステリー

Jonathan Kellerman, Faye Kellerman
ジョナサン・ケラーマン、フェイ・ケラーマン

ごめんなさい。そのうちページを分けて何とかします(汗)。
旦那様のジョナサンは小児臨床心理医アレックスのシリーズで、奥様のフェイはユダヤ人のコミュニティでの事件を描くデッカー&ラザラスシリーズでそれぞれ有名。翻訳されている分は、どちらも大体読んでいるはず……です。

"Double Homicide"
Jonathan Kellerman, Faye Kellerman 2004
Paperback edition 2005

ニューヨークで成功し、その後サンタフェの街に移り住んで画廊を経営していた有力者オラフソンが画廊の中で殺された。最近彼の元で働いていた人間や顧客には愛されていたらしいが、それなら何故彼は殺されなければならなかったのか……。"Santa Fe"

Boston Ferris校のバスケットボールチームに所属し、将来を嘱望されるスタープレーヤー、ユリウスが、試合後にチームメイトと訪れたボストン市内のクラブで銃撃にあって殺された。しかし、目撃者は名乗り出ず、彼の検屍を担当した検死官は意外な死因を指摘する……。"Boston"

ケラーマン夫妻初のコラボレーション作品です。先日、ケラーマンのことが話題になったばかりの頃に、書店で表紙にひかれた本を手に取ったらこの本でした。何か呼び合う物があったらしいです(笑)。久しぶりに普通の書店で定価で洋書を買いました。この本、真ん中で二つに分かれていて、上下逆綴じになっています。読者は好きな側から好きな方を読んでいって、そっちを読み終わったらひっくり返して反対側から読む仕掛け。どちらから読んでも大丈夫です。私は、"Santa Fe"から読みました。

コラボレーションということで、話自体が絡み合うのかと思っていたのですが、実はそうではありませんでした(笑)。全く別の街の、全く別の事件をそのまま書いてある、それぞれ独立した物語です。どれくらい共同で書いているのかもわかりません。それぞれ名前が前になっている方をメインで書いているんじゃないかなーと(サンタフェがジョナサンでボストンがフェイ)。共通するのは、物語全体の骨格部分だけ。でもこれ、なかなか気の利いた仕掛けでした。

推理物としては全然(?)なんですが、この物語、それぞれの事件を捜査する刑事コンビと、被害者や周囲の人々の状況や思いを描いていくという、日本の刑事ドラマのような設定になっています。今週の主人公はA刑事、来週はB刑事、みたいな感じ? 殺人が中心ではありますが、それはあくまでも人間を語るためのキーに過ぎません。そして、下手に物語を絡めたりしない分、それぞれの街の空気や住む人々の違い、考え方や生き方の違い、そして書き手の持つ力の方向性の違いまでが鮮やかに浮かび上がってくるのです。アメリカって、やっぱり広いなあ、というような感じがしみじみと(笑)。

文章は、明らかに"Santa Fe"の方が簡単です。それまで読んでいたファンタジーも「おお、これはこのラインにしては楽勝」と思っていた私は、こちらの本のあまりの簡単さにめまいを覚えました(爆)。もう、文章密度が全然違いますー。いえ、ちゃんとした文章ではあるんですけどね。"Boston"の方がその意味では密度が高い。語彙的には大差はないかと思いますが、多分。どちらの文章がお好みかは読む方によって違うでしょうけれど、私にとってはやはり"Boston"(多分、フェイの書いた方)が「読ませる」文章でした。何がどうというのではないのですが、ひきつけられるものがある。物語としての面白さは、"Santa Fe"かな、と思わなくもないですが。
2005.04.04



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