ミステリー

Paul Doherty
ポール・ドハティー

時代ミステリーの人?
まだ、読んだのが1冊だけなので、いまいち感じがつかめていません。今後に期待。

「毒杯の囀り」
古賀弥生訳 創元推理文庫 2006
"The Nightingale Gallery" 1991

1377年のロンドン。老王エドワード三世が崩御し、その跡を継いだのはまだ10歳の少年リチャードだった。その摂政の任についた彼の叔父、ランカスター公ジョン・オブ・ゴーントは虎視眈々と玉座を狙う。そしてある夜、ロンドンで、貿易商トーマス・スプリンガル卿が毒殺された。彼は、権力の座を巡る何らかの陰謀に関わっていたらしい。彼の死の謎を解くことを命じられた検死官クランストンとその書記を務めるアセルスタン修道士は、地道な捜査を開始するが、そこには新たな死が待っていた……。

時代ミステリーの新シリーズ第1巻です。舞台は、フランスやスコットランドとの戦いを続けていた時代のイングランドの首都ロンドン。生と死が常に隣り合わせの、混沌の時代。かっこいい中世騎士道物語の世界ではなく、騒々しく不潔で貧しい、でも活気のある都市で起こる事件の物語。これからが楽しみなシリーズです。

主人公はどちらかというとアセルスタン修道士なのかな。ロンドンの小さな教会を任されている彼は、過去に許されざる罪を犯し、それ故に完全な修道生活を送ることができずにいます。そしてその彼が無理矢理やらされているのが、検死官の書記の仕事なのでした。彼が付き従うクランストンは頭の切れる仕事熱心な検死官で、でも、大変な酒飲み。この2人のコンビ、なかなか面白いです。2人とも、消せない過去を心の内に抱えたまま、それでも歯を食いしばって生き続けているのですが、まだまだお互いに腹を割っては話せない。今後の展開が待たれます。

中世物で修道士というと、どうしてもカドフェルのシリーズを思い出しますが、あちらとは全然雰囲気が違います(笑)。どちらかといえばファルコに近いような感じ。でも、正直言って、紀元前ローマの方が14世紀のロンドンより「健康で文化的」(爆)。なんだかなあ。中世が暗黒時代だっていうのもわかるよな、としみじみ思いました。

ところで、この本の中には「ナイチンゲール・ギャラリー」という、いわゆる「うぐいす張りの廊下」が出てきます。ええっ? イギリスにもあったのかーと、びっくりしたんですが、これは日本のそれに想を得た作者の創作らしいです。あったら面白いんですけどね。
2006.11.27



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