SF

Ursula K. Le Guin
アーシュラ・K・ル・グィン

SF作家としてのル・グィン。並ぶ者のない実力派作家ですよね。
ただ、翻訳版は入手不可本が多くなってしまっていて、残念です。本棚を掘ると結構出てくるところが私(笑)ですが、それでも持ってない本も多いです。とりあえず、比較的最近読んだこの本だけ。


「言の葉の樹」
小尾芙佐訳 早川文庫SF 2002
"The Telling" 2000

久々のハイニッシュ・ユニヴァース。懐かしかったです。

急速な進歩と引き替えに、過去のすべてを切り捨てようとした惑星アカ。そこでは、古い書物は焼き捨てられ、寺院は破壊され、かつての風習や信仰はすべて失われつつあるように見えた。滞在を許された数少ない外界人の1人である地球人の歴史学者サティは、自らの育った圧制下の地球での経験とこのアカでの経験を重ね合わせ、なにもできない自分に深い挫折感を抱く。しかしある日、彼女は上司から、地方都市を訪れる許可が下りたことを告げられ、川を下って旅に出ることになる。訪れたのは山間の地オクザト−オズカト。そこには、古い文字が、言葉が、そして「語り」をする人々が今も生きていた。

という感じでしょうか。この物語は、物語のための物語です。人々を語る、物事を語る、世界を語る、物語。派手な冒険も大立ち回りもありませんし、ヒロインのサティは常に冷静な観察者・記録者であろうとし続ける学者の鑑。でも、そこにはやはり力があり、読む人を引き込む何かがあります。著者お得意の文化人類学的SF。緻密に作り上げられた異世界を味わってみてください。

ハイニッシュ・ユニヴァースのシリーズでは、「闇の左手」が有名ですが、私は「所有せざる人々」の方が好きでした。何故だったかまでは覚えてないなあ(笑)。



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