SF

Marion Zimmer Bradley
マリオン・ジマー・ブラッドリー

ファンタジー作品も沢山書いている、人気女流SF作家。
残念ながら、もう他界されています。
女性的な感性で描かれた、心理描写が細やかな作品群。フェミニズム色が濃いものもありますが、それだけではありません。

代表作「ダーコーヴァ年代記」は、私と同世代のSF・ファンタジーファンの方なら、「ああ、あれ」と思う方も多いのではないでしょうか。創元SFの赤い背表紙のシリーズ。人気もあったし順調に翻訳されていたのに、何故かいきなり刊行が中止されてしまった、異文化遭遇SFの傑作シリーズです。私は日本語版をずーっと楽しみに読んでいて、刊行されなくなったって知らなくて、新刊の刊行をずっと待っていたものです(泣)。だって、次巻予告だって出てたしー。

翻訳で出た分はすべて刊行当時に読んでいたのですが、洋書を読めるようになった時点で、「あ、じゃあ、続きが読めるんだー」と。でも、まだ読んだのは日本語で読んでいた分だけです。これから読む予定。本棚待機中です。

原書で読んでみたのは次の3作。3作で1冊のお得な版("A World Divided" 2003)を買いました。

"Star of Danger" 1965(Renewed 1993)
「はるかなる地球帝国」 
阿部敏子、内田昌之訳 創元推理文庫 1986

地球で育った赤毛の少年ラリーは、父の転勤に伴って、遙か辺境の惑星ダーコーヴァへ赴くことになった。そこは、4つの月と光の弱い太陽を持つ、地球とは全く異なった文化を持つ惑星。それまで聞いたこともなかったはずのその星に奇妙にひかれるものを感じ、現地語を学んだり本を探したりと万全の準備をして降り立ったラリーは、最初の日に宇宙港の近くで1人の少年と出会う。彼を地元民と見なし、ダーコーヴァ語で話しかけてきた少年。彼は、ラリーと同じ赤い色の髪をしていた。

ラッキーなことに、最初に収録されていたこのお話は、私がこのシリーズにはまるきっかけとなった、大好きなお話でした。ということで最初からのめりこみまくり(笑)。少年2人の文化の違いを超えた友情と、それぞれの誇りの持ち方が印象的な、上質のジュブナイル小説。文章もとても読みやすいです。


"The Bloody Sun" 1965(Renewed 1992)
「宿命の赤き太陽」
浅井修訳 創元推理文庫 1986

ダーコーヴァの地球人孤児院で育ち、少年時代に父の祖父母に引き取られて地球に移り住んだジェフ・カーウィンは、地球の環境にも人々にもなじむことができず、ずっとダーコーヴァに帰ることを夢見ていた。だが、地球帝国の技術要員の1人として、ダーコーヴァに戻った彼に、孤児院の事務員は冷たく告げる。「あなたの記録はこちらにはありません。別の惑星とお間違いなのではないですか?」

と、これだけ書くと、ルーツ探しかスパイものか何かのようですね(笑)。自分探しっていうのはあるかな。とりあえずこのお話は「超能力者もの」。でもって、やっぱり、「異文化遭遇もの」。陰謀ありロマンスありの波瀾万丈のお話。こちらは大人向けです。


"The Winds of Darkover" 1970
「炎の神シャーラ」
赤尾秀子訳 創元推理文庫 1987

ダーコーヴァに勤務して5年。それまで大過なく人生を送ってきたダン・バロンは、ある時から何故か、きわめて明瞭な白昼夢に悩まされるようになる。その夢が原因でそれまでの職を追われることになった彼は、趣味を買われてダーコーヴァの奥地に送り込まれることになるが……。
一方、ダーコーヴァの山間の地に居城を構えるストーン一族の少女メリッタは、盗賊集団に城を落とされ、決死の逃避行を試みる。彼女の兄ストーンは、盲目に生まれついた強力なテレパスだった。

読んでる時間はこの話が一番長かった気が(笑)。
前2作とは違って、こちらはダーコーヴァ人からの視点もあるので、その分、読むのはちょっと大変でした。やはり、地球人視点の方がわかりやすいです。


このシリーズ、現在、すべての作品をテーマごとにまとめたオムニバス版が続々と刊行されています。今なら簡単に手にはいるし、お得(笑)。すべて入手予定(っていうか、出ている分は買いました。予約できる分は予約しました)。でも、いつ読むのかは未定です。
"Heritage and Exile"
"The Ages of Chaos"
"The Saga of Renunicates"
"The Forbidden Circle"
"A World Divided"(←これだけ読みました)
"Darkover: First Contact"
さあ、あなたも、あの時悔しい思いをしたあのシリーズの続きを読んでみませんか? ちなみに、予告されていたにもかかわらず出なかった「センダラの館」は、3冊目、"The Saga of Renunicates"に所収されています。



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