ファンタジー・国内
現在の国内ファンタジー作家としては、最高峰の1人でしょう。もっとも、私は人に借りてしか読んでいません(汗)。児童書系ハードカバーは私の守備範囲外なんですー。
というわけで、とりあえず最近読んだ1冊だけ。
「蒼路の旅人」
佐竹美保絵 偕成社 2005
国内児童書系ファンタジー屈指の人気シリーズ、「守り人」「旅人」シリーズ最新巻です。ネタバレ回避のため、このシリーズをまだ読んでいない方はこの先は読まないでくださいー。
南の大国タルシュ帝国の侵攻の手が、とうとうサンガル王国に及んだ。新ヨゴ皇国に届けられた援軍の要請は、実際には既に制圧されたサンガルがタルシュの命令により送ったヨゴへの罠。しかし、父である帝に疎まれる皇太子チャグムは、それを罠と知りつつ、祖父である海軍大提督とともにサンガルへと向かうことになる。そこに待っていたのはもちろん敵の罠。そして、1人捕らえられたチャグムは、ヨゴ枝国出身の密偵に導かれ、タルシュの帝都ラハーンへの道を辿る……。
「守り人」シリーズ登場時点では幼い少年だったチャグムですが、ずいぶん大人になりました。こちらのシリーズでは、国と国との問題、政治向き、戦向きの問題が前面に押し出されているので、余計にそういう感じになりますね。チャグムも、自己犠牲型の統治者(まだ発展途上)。ええ、私の得意ラインです(笑)。
ただ、今回はそれよりも「おお、ローマだわ(笑)」と思って読んでしまいました。強大な敵国タルシュ、絵柄からいっても名前からいってもトルコ(というかペルシャ?)なのかなー、とは思いますが、私の頭の中ではやり口はローマ(笑)。「ローマ人の物語」でおなじみのローマ人の支配戦略がそこここに。都市を、街道を整備し、通貨を統合し、兵士に動員して手柄を立てれば市民権。完璧です。もっとも、支配者の雰囲気はトルコとか、あっちの雰囲気ですよね。
彼岸をのぞき込む眼を持ち、時にそちらに引き込まれそうになりながらも、自らの意志で踏みとどまる少年チャグム。彼がこれから進むのは、やはり茨の道なのでしょう。サンガルの少女セナのように、読み手の私も彼に幸運を祈らずにはいられません。
ところで、でもやっぱり私は、バルサの側の話の方が好きみたいです。単に女性が主人公の方が読みやすいから?(笑)。
2005.07.18 |
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