ファンタジー・海外

Mary Hoffman
メアリ・ホフマン

児童書系ファンタジー作家さんですね。今のところ、まだ1冊しか読んでいません。頑張らないと(笑)。

"Stravaganza: City of Masks"  2002
日本語版は「ストラヴァガンザ 仮面の都」 乾侑美子訳 小学館 2003

現代イギリスの少年ルシアンは、癌に身体をむしばまれ、治療に疲れ切っていた。まるで、血管にカスタードを流し込まれたような疲労感。何を食べても美味しくないし、もとよりほとんど食欲はない。本を読もうにも、本を支え続けるだけの力がない。喉がかれて声がまともに出せないこともある彼のために、彼の父が1冊の美しいノートを見つけてきてくれた。何か伝えたいことがあったら、これに書けばいい。しかし、そのノートは、持ち主に世界を渡る力を与える、魔法の品だったのだ。
自室のベッドで眠りについたはずのルシアンが目覚めたのは、明るい光の差し込む聖堂の中。身体には力が満ちて、治療の最中に抜け落ちてしまったはずの髪の毛も戻っていた。外の街には銀色のドームと輝く海、そこかしこにつながる運河。そこはヴェレッツァ。彼の世界のヴェニスに似た、美しい海の都だった……。

かなり前からおすすめされていて、洋書バーゲンでゲットしてあったにもかかわらず、積んであった本です。はらはらどきどきの、非日常の冒険物語です。ストラヴァガンザ、というのはルシアンの手に入れたノートのような品をキー(作中ではtalisman)に世界を渡る人々のこと。異世界のイタリアであるタリアは、科学技術の代わりに魔法を発達させつつある中世の国。昼と夜を使い分けて、二つの世界を渡って暮らすという設定も面白いです。明快でテンポのいい、楽しい本でした。

昼間は現実の世界で闘病生活を送り、夜、眠りに落ちると、そちらも昼間のヴェレッツァに渡るルシアン。二つの日常と、それぞれの現実。その対比がとても効いていて、ヴェレッツァの美しさ、不思議さを際立たせています。読んでいると、一度だけ行ったことのある、現代のヴェネチアを思い出して、その海の香りが漂ってくる気がしました。現代のヴェネチアは、沈みつつあるし、海もなんだか匂う感じだった記憶もあるのですけれど。

英文は、なんだかとても簡単です。そうか、読みやすいってこういうことか、というような(笑)。続きも読んでみようと思っていますが、続けて児童書系を読んだら、さすがに、「もっと噛みごたえのある文章が読みたい」モードに入ってしまったので、またそのうちに。
2005.11.05



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