ファンタジー・海外

Elizabeth Haydon
エリザベス・ヘイドン

個人的には、近年の大収穫の1人。でも、日本語で読んでさえあまりにも厚くて長いため、最初から手を出さない人も多かったような(笑)。緻密で美しい世界描写と個性的な登場人物、練り上げられたストーリー展開、と三拍子揃っためくるめく(?)異世界ファンタジー。結構ハーレクインなところもあるので、どちらかと言うと女性向けなのかもしれません。

現在出ているのは以下のシリーズのみ。日本では、最初の3部作が翻訳出版されています。

"Symphony of Ages" シリーズ
"The Rhapsody Trilogy"
「ラプソディ 血脈の子」
エリザベス・ヘイドン著 岩原明子訳 早川文庫 2001
"Rhapsody: Child of Blood" 1999
「プロフェシイ 大地の子」
エリザベス・ヘイドン著 岩原明子訳 早川文庫 2002
"Prophecy: Child of Earth" 2000
「デスティニイ 大空の子」
エリザベス・ヘイドン著 岩原明子訳 早川文庫 2003
"Destiny: Child of the Sky" 2001

歌によって事物を変えることさえできるリリン族の「歌い手」ラプソディ。彼女によって新たな名を得て枷から解き放たれたドラキア族のブラザー、アクメド。そして、彼とともに旅をしてきたフィルボルグ族の戦士、グルンソル。彼ら三人は運命の糸に導かれて出会い、追っ手から逃れるために果てしない地下への旅に出る………。

私は第2部までは日本語で先に読んでいて、第3部からは先に英語で読んでいます。なんというか、とてもイマジネーション豊かな文章。第1部では、地下の描写は特に圧巻でした。極彩色のタペストリーを眺めているような、めまいがするほど濃密な世界が広がります。世界設定は深く大きく緻密。物語も入れ子になった複雑なもので、とっても読みでがあります。いえ、私は一気読みをしてしまった訳ですが(笑)。

英語で読む方が、文章が生き生きしていて音楽的で楽しいですが、とても大変なので、まあ、お好みに合わせて日本語でもどうぞ。

キャラクターも魅力的で、私は特にアクメドが気に入ってます。なんであっちを選ぶんだラプソディ(笑)。グルンソルも、とってもいい味出してますよね。

3部作。めでたく完結しましたが、続きも出ています。


"Requiem for the Sun" 2002

これは3部作の直接の続きです。ここからまた3部作になるらしく、この巻は明らかに新たな物語の始まりのお話。「ええっ? こんな人まで出てくるんかい?」と思うようなキャラクターまで登場する、オールスター総出演のファンサービスな1冊。でも、お話としてはまだまだです。今後に期待。

強権をもってソルボルドを治めていた皇帝が逝去。その葬儀と新たな皇帝選びの儀式のため、各地の王族達がソルボルドに終結する。義理で参加したアクメドは、そこで腕の良いガラス職人を見出し、新たに再建することを目指している古代の装置のために彼女を連れ帰る。
一方、エリンシノスのもとを訪れるため、アンボルンに護衛されて旅を始めたラプソディには、新たな危険が迫っていた……。

ということで、この巻最大の見どころは、アシェとアクメドの「でこぼこ珍道中」(爆)。いえ、血の雨は降りません。そこがまた面白いところです。


"Elegy for a Lost Star" 2004

第5巻です。
あの惨劇から4年、アシェとラプソディは、後見してきたナヴァルネの嗣子グウィディオンに正式に家督を相続させ、ウィンター・カーニバルを復活させた。久しぶりに人々は集い、訪れた平和を喜び合う。しかし、遠い北の地では、命を落としたはずのアンウィンが目覚め、ほとんどの記憶を失ったまま、復讐心だけを抱いて動き始める。そして、砂漠の地ソルボルドでは、新たな皇帝に選ばれたタルクィストが、秘めた野望をかなえるべく、生ける石に手をつけようとしていた……。

多分、今回も3部構成なので、これは真ん中のお話になるのでしょう。第1部はさわり、という感じで、どことなく軽めのお話でしたが、この巻は最初からとばしています。アンウィン、いいのかそこまでして……? とか、「動く石像」(笑)とか、「怪獣大戦争」(←嘘)とか、目が離せない展開です。そして、途中でさっくり話が終わっています(涙)。次の巻は今年の秋にハードカバーが出る、という状況らしいので、これからまた長い待ち時間に入ります。ううううう。

前の3部作が、ある意味「現在」の物語であったのに対して、こちらの3部作は「過去」がクローズアップされる物語であるようです。過去に旅する訳ではなく、遙かな過去に起こった様々な出来事が現代に干渉してくる物語。すでに滅びたと思われていた種族が登場したり、旧世界でアクメドやラプソディを知っていた人々が登場したり。そう、クムリアン第1世代の他にも、不老長寿の人々が結構沢山いるらしいのです。あの世界の始まりやなりたちも徐々に明らかにされ、より一層、話に奥行きが出てきました。すでに一度歴史が改変されているわけですが、その辺はどうなるのかなーって思います。

ところで、次巻のタイトルはなんと、"The Assassin King"。
とうとうアクメドが主人公に?
楽しみですねー。
2005.05.04



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