ファンタジー・海外

Barbara Hambly
バーバラ・ハンブリー

かなり昔からのファンタジーファンでないと存在そのものも知らないかな、という作家さんですが、もっと評価されてもいいのにな、と思います。と言っても、私もまだほとんど読んでいないのですが。これから頑張ります。

翻訳が出ているのはこれだけです。「ダールワス・サーガ」3部作。

「闇の戦い」(ダールワス・サーガ1)
岩原明子訳 早川文庫 1990
"The Time of the Dark" 1982
「迷宮都市」(ダールワス・サーガ2)
岩原明子訳 早川文庫 1990
"The Walls of Air" 1983
「光の軍隊」(ダールワス・サーガ3)
岩原明子訳 早川文庫 1991
"The Armies of Daylight" 1983

大学院で中世史を学ぶジルは、毎夜、別世界の悪夢を見続けていた。暗黒の生き物に襲われる都市、逃げまどう人々。それはただの夢であるはずだった。しかしある夜、夢の中に出てきた魔法使いが現実に現れ、事態は一変する。彼女と、たまたま居合わせた不良青年ルーディは、彼に手を貸すうちに、異世界へと転移してしまったのだ。そこは、ジルが見た悪夢の世界。暗黒の生き物がうごめき、冷たい冬が訪れようとしている極限世界だった。

ライトノベルにもよくある、「異世界巻きこまれ型」の物語。でも、このシリーズは、重厚な雰囲気と濃密な世界描写、特に都市や建物に関しての描写が緻密。厳しい状況下に生きる人々のぎりぎりの人間性が描かれる、佳品です。オチに関しては、個人的にはちょっと微妙なんですが、物語全体としてはとても面白いです。

私はこのシリーズに出てくる魔法使いインゴールド・イングローリオンの大ファン(笑)。「かっこいい(戦う)じじい」がお好きなかたには超おすすめです。

それで、この3部作で完結しているのだとずーっと思っていたのですが、洋書読みになってチェックしてみたら実は続きが(笑)。
ということで読んでみました。

"Mother of Winter"

暗黒の生き物は去り、「砦」内で王国を立て直し始めたダールワスの人々。しかし、世界の寒冷化は着実に進み、人々の心は荒れ果てていた。寒冷化の謎を解くために、インゴールドとジルは魔法の遺跡を回り、失われた文献を探し求めるが、そのころ、「砦」の中には奇妙な生物が……。

かなり難しかったので、ちゃんと読めたのかどうかは怪しいです(笑)。文章は流麗で、読むのは楽しかったんですけどね。インゴールド、相変わらずかっこいいです。うっとり。

"Icefalcon's Quest" 1998

暗黒の生き物との戦いから7年。ダールワス世界の寒冷化は進み、「夏のない年」以来、人の住める場所はますます少なくなりつつある。だが、かつての偉大なる文明の遺産である「砦」に移り住んだ人々は、じゃがいもの再発見にも支えられ、ようやく完全に自給自足の生活を送れるようになっていた。
砦を守る戦士の1人であるアイスファルコンは、ある日、パトロールの途中で、賊に襲われていた商人風の男とその姪を救い、砦に連れ帰る。姪は、いにしえの魔女の記憶を宿していると語り、砦の首脳陣の興味をひくが、それは周到に用意された罠だった。彼らは砦の幼い王アルティールを騙し、連れ去ったのだ。敬愛するかつての主人のため、自らの名誉のために、アイスファルコンは単身、彼らを追う旅に出る。それは、彼自身の過去に向き合う旅でもあった。

「ダールワス・サーガ」の続編第2弾。2年越しの課題でした(笑)が、とうとう読みました。難しかったです。字面を眺めただけだとそれほど難しそうには見えないんですが、何だかすごく難しい。どうしてなのかはよくわかりません(笑)。相性が悪いのかなー。

まあ、それはおいといて、ダールワスのその後を描く物語、今回はあの、頼れる異民族の戦士アイスファルコンが主人公。本編を読んでいたときには、強くて無口で無愛想な、でもなんだか変わった人、というイメージがありました。このお話では、初めて彼の内面が明らかに(笑)。結構自信家で、でも意外と繊細。危地にあってもユーモアを失わない強靱な精神の持ち主ですが、お姉さんには弱い(爆)。ジルの影響をかなり受けているらしくて、それが妙におかしかったです。インゴールドがいなかったら、と考えるとすごいものがありますね。

物語は複雑で人間関係も錯綜していて、なかなか読み応えがあります。途中からアイスファルコンと一緒に旅をする、別の部族の長、Loses His Way がとても存在感のある良い味を出していて、彼の選択には泣かされました。ヒロインにはもう一声欲しかったかなー。あれならお姉さんの方がいい女かも。

この後は、続きは書かれていないようですが、ダールワスの世界、まだまだ苦難の日々が続くようです。ちょっと、大人になったTir君が見てみたいなと思った私でした。さぞやいい男に育つことでしょう。楽しみです。
2005.03.10



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