ファンタジー・海外

Jim Grimsley
ジム・グリムズリー

どのジャンルに置くべきかちょっと悩むところですが、一応こちらに(笑)。BLです。お嫌いな方は無視してくださいー。

「キリス=キリン 1:森の王」
澤田澄江訳 中央公論新社C・NOVELS Fantasia 2005
"Kirith Kirin" 2000

魔女の家系の7番目の末息子ジェセックスは、14歳の時、予言されし者として、神秘の森アーセンに迎えられる。森の外では王権交代を拒んだ「赤の女王」が、恐るべき力を持つ魔法使いとともに圧政を続け、民の苦悩は深まるばかりだった。森に住まうのは本来、次の王権を譲られるべき「青の王」キリス=キリン。しかし、彼は、赤の女王の魔法使いに対抗できる魔法使いを持たなかった……。

この巻は、導入部って感じで、あまり物語が動いていないです。だから、内容についての判断は保留。所要時間から言って、PB1冊分は訳されてないよなーと思ったら、やはり全体の3分の1くらいみたいです。日本語にしてもあっという間に読めすぎだよなー、という。なんていうか、全体的にライトノベル感覚で、私はあまりひきこれることなく読んでしまいました。それは、長さのせいなのか、そういうものなのかはまだわかりません。ちょっと、主人公の性格が私には受動的すぎるのかなー。頑張りやさんではあるのですが、それも、何となく表面的な印象がある。だから、あまり感情移入するに至らないみたいです。キリス=キリンに至っては、出番があまりにも少ないので、性格つかめてないし(笑)。

ファンタジーとしては、まだまだ「お勉強しました」な感じ?
作者も頑張って設定したんだろうなーと思うのですが、それが物語の中に自分から流れていってない気がします。とってつけたようなというところまではいかないけれど、世界がそこにあって、読んでいると自然に体感できる、というところまではいっていないような気がしました。単に私の読解力が落ちているのかもしれませんが(笑)。

ただ、設定はなかなか面白いし、魔法の体系や信仰のあり方とかが美しくていい感じです。とりあえず、英語で読みたいほどにはひきつけられなかったので、次回も日本語で読みたいと思います(笑)。あ、でも、原書版は普通のファンタジーな表紙で、そんなにひどくはないみたいですよ。一応。
2005.04.24

「キリス=キリン 2:魔術師の塔」
澤田澄江訳 中公C・NOVELS Fantasia 2005
"Kirith Kirin" 2000

王位交代の法に従わず、女王の座に居座り続ける「青の女王」アスリン。しかし、それが彼女自身の意志なのか、彼女の権力を支える強大な魔術師ドリューデンの意志なのかは誰にもわからなかった。度重なる圧政に人々は疲弊し、反乱を企てる者も跡を絶たない。「赤の王」キリス=キリンは、これ以上の悲劇を起こさぬため、できうることなら戦を避けたいと願い続けていたが、人々の懇願に押され、とうとう彼らに戦いを挑むことを決意する。しかし、彼には彼を支えるべき魔術師が存在しなかった。聖堂での勤めの陰で、密かに三女神から魔術を学ぶジェセックスは、予言された魔術師イーロンを待ち続けていたが……。

と、大変真面目なお話のように書いてますが、BLです(笑)。
この巻では、あっさりさっくりそういうことに……。うーん。私はそっち方面には耐性ありすぎますが、そうでない方にはどうなんでしょうねー。微妙。

ええと、お話としては、魔術の修行のところはかなり面白いです。でも、戦関係はちょっと弱い気がしますねー。主人公の1人語りで遠くから語られてしまうので、臨場感とか歴史のうねりとか、そういうものがほとんど感じられないんです。全体として、「お勉強しましたー」な感じとでも言うのでしょうか。ちょっともったいないなあ、と思いました。せっかく細かく設定してあるのに、使いこなせてないのかなー。まあ、これからに期待しましょう。

そんな訳で、これ、やっぱり英語で読む気にはなれませんー。
最後まで日本語で。あと1冊でしょうか? どういうオチをつけるのかは、ちょっと気になります。
2005.09.01

「キリス=キリン 3:宿命の時」
澤田澄江訳 中央公論新社C・NOVELS Fantasia 2005
"Kirith Kirin" 2000

預言された魔術師イーロンとして、王の側に立つことになったジェセックス。しかし、激しさを増していく戦いの中、幸せな日々が続くわけはなかった。宿敵である魔術師ドリューデンが彼を侮っているうちに、できるだけの手を打ち、自らの力の及ぶ範囲を広げていかなければ……。そしてやがて、彼はドリューデンと向き合い、最後の戦いを繰り広げることになる。ジェセックスが最後まで暴けなかったドリューデンの秘策、それは、ジェセックスに大きな衝撃と打撃を与えるものだった。

何となく、そうかなあと思っていた方向に話が進んだのですが、その後の展開がちょっと意外だったかな(笑)。いえ、反則というわけではないですが、なんとなく違和感が。

魔法の概念とか、塔の設定は、最後まで興味深いものでした。世界観も面白いです。でも、残念なのは、最後の最後まで、私には「すべてが他人事」としてしか読めなかったということ。語り口の問題なのか、共感度が低いからなのか、戦いも苦悩も、私の中ではどうしても上滑りする感じでした。ものすごく沢山の人が戦で命を落とすのですが、そこに重みが感じられないというのかな。もちろん、ジェセックスは苦悩し続けるし、自らを責めるのですが、そこに現実とつながるものがないんですね、私の中で。きっと、感度が合わなかったのでしょう。英語で読めばまた違ったのかもしれません。いえ、でも、日本語でいいです(笑)。

と言っても、単にBLとして読むなら、十分以上?(爆)。
日本のいわゆるそういう本と較べたら、ファンタジー的な物語世界はずーっと上だろうなって思います。私の中では、ヴァニエル君にはかなわないですけどね(笑)。
2005.12.21



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