ファンタジー・海外

Gayle Greeno

まだ翻訳はないみたいです。なので、名前を何て読むのかも知りません(笑)。私の中ではSFなんですが、多分、ファンタジーに分類されるのだと思います。

"The Ghatti's Tale Book 1:Finders-Seekers" 1993

惑星Methuen に降り立った、地球からの数隻の移民船。地球人達は惑星探査のために各地に分析装置を送り込み、データの収集を開始するが、ある日、地球との連絡が絶たれ、新たな助力を受けることも、地球に帰還することもかなわなくなる。絶望し、悲嘆にくれ、しかしやがてこの星で生きていくことを決意した彼らを、密かに見守る生物がいた。地球の猫に似た、それより少し大きく、高い知性とテレパシー能力を兼ね備えたこの惑星土着の知的生命体Ghatti。好奇心にあふれ、常に真実を追い求める彼らは、何とかして地球人達と言葉を交わしたいと願っていた……。
それから200年後、地球人達は科学技術の恩恵をほとんど失い、手工業の生活に戻って、この惑星に適応した文明を築いていた。彼らを束ねるのはいくつかの職業組合。そして、その1つは、Seeker と呼ばれる人々の集団だった。Seeker 、それは、真実の探求者。彼らの隣には必ず、その人間を相棒に選んだGhatti の姿がある。とうとう地球人と心を通わせるすべを見出したGhatti は、人々と共に生きるようになったのだ。Seeker とGhatti は世界を回って真実を探し求め、通り過ぎる町や村では判事の任を務める。それは、Ghatti の持つテレパシー能力によるものだった。

Ghatti に選ばれ、途中からSeeker となったDoyce は、巡回を終えて戻った日、恋人の死を告げられる。Seeker の見習いとして受け入れられた彼女が最初に出会ったSeeker であり、教師役で親友でもあったOriel。彼は巡回中に何者かに襲われて絶命、彼の相棒であるGhatt(男性形はGhatt、女性形はGhatta。全体としてはGhatti)のSaam も重症を負い、テレパシーが使えなくなっているという。そして、Oriel の死体からは、脳が完全に奪い去られていた。何者かが、Seekers とGhatti を狙っている。Doyce は、Oriel の最後の巡回ルートを追い、襲撃者を探す任務を与えられるが……。

ああ、長かった(笑)。
シリーズ物の1巻目なので、世界設定から説明しないと何がなにやらってところでしょうか。そしてこの物語、かなりシビアでタイトな、ぎりぎりまで追いつめられるタイプのお話です。なかなかすごい緊張感でした。肉体的にではなくて、精神的に、ですね。面白いけれど、重い本。猫に関するユーモアはたくさん入っているんですけどね。

旅先の本屋で呼ばれて買った本です。呼ばれたのは猫だから(笑)。猫好きによる猫好きのための猫物。もっとも、猫物ファンタジーだと思って買ったら、設定的にはSFでした。と言っても、「パーンの竜騎士」や「ダーコーヴァ年代記」がSFだと言うのと同じ程度のレベルで、ですが。科学技術は失われていますので、科学小説ではないですもんね(笑)。でも、ファンタジーだと言われるとちょっと嘘だよなー、という感じです。雰囲気も語り口も私から見るとSF。でも、この辺は読む人によるかなと思います。

さて、このシリーズ、翻訳はされてないみたいです。著者も日本ではまだ知られていないのではないでしょうか。少なくとも、私は全然知りませんでした(笑)。あ、物知らずなだけ? "Ghatti's Tale"は3部作で、その後、"Ghatten's Gambit"というシリーズが出ている模様。意外と人気があるんでしょうか。確かに、猫好きにはこたえられない感じが……。ヴァルデマールの「馬」のように、この物語のGhatti 達は1人の人間を選んで絆を結びます。それは、心と心の完全なつながりであり、選ばれた人間はもう決して1人になることはないと知るのです。Ghatti 同士は更に、大きな心のネットワークを持っていて、猫集会のように、夜に心と心を結び合わせて長老達の物語を聞いていたりします。ああ、うっとり(笑)。

というわけで、猫好きの方はぜひお試しください。
物語は、とっても厳しいです。不幸な過去にとらわれたままそれでもなんとか頑張って生きてきたDoyce を襲う更なる不幸。Seeker 達とGhatti を狙う黒い影。夜毎の悪夢。それでも、真実を求めて、Seeker達は進んで行きます。それはやっぱり、読む人に力をくれるのかもしれません。

さて、英語的には、残念ですが、初心者の方々には絶対にお勧めできません(苦)。全体的に見ると、ものすごく難しいということはないのですが、物語の設定上、主人公達の会話には「植民地英語」とも言うべき、微妙な訛りがちりばめられています。日常的な単語についてもそう。読んでいれば容易に推測はつきますが、そういう本を読み慣れていない人にはかなり大変なんじゃないかなと思います。辞書ひいても無駄だし(笑)。でも、読み慣れると面白いので、興味のある方は気長にチャレンジしてくださいませ。
2006.01.30

"Mind-Speakers' Call"  1994

2巻目です。1巻目を読み終わってから2ヶ月がかり、やっと読み終わりましたー。いやもう、長い戦いでしたね(苦)。途中で山のように日本語の本読んでたり塗り絵にはまっていたりしたにせよ、これはかかりすぎです。そんなにかかったら、最初の頃に読んだ部分は忘れてるんじゃないかと突っ込まれそう(笑)。いえ、大丈夫、私は覚えている人です。読みかけのまま数ヶ月放置した本を取り上げて開いて、そのまま続きが読めるタイプの超納得力派(爆)。まあ、実生活ではそこまで記憶力よくないので、何の役にも立ちませんが。

では、今回のお話。

炎に消えたかつての義理の息子Vesey の最後の悪意から辛うじて逃れたDoyce。しかし、彼女の心は彼によって痛めつけられ、閉ざされてしまった。相棒のGhatta、Khar'pern は彼女の心に必死で呼びかけ続けるが、Doyce の心はなかなか戻ってこない。そんなある日、Seekers の総帥Swan と医療師の代表Mahafny、そして監視者Kyril がかつての彼女の仲間達とともにDoyce の元を訪れた。彼らは眠っていたDoyce の心を揺さぶり起こし、新たな任務を与える。それは、前女王の死後、世継ぎが決まらないまま混乱の渦中にあり、国交が絶たれたままの隣国Marchmont に特使として派遣されるRolf に同行し、記録者の任を勤めること。しかし、旅の途中、相棒Chak を喪ったRolf はその後を追って命を落とす。彼が、そして彼に今回の使命を与えた総帥達が彼の後任に指名していたのはDoyce だった。彼女は、残った仲間達とMarchmontを目指すが、そこには……。

1巻目を読んだとき、私はてっきりこの惑星上の国は1つで、Seekers はどこにでも行っているものと思っていたのですが、どうやら思い違いだったようです(汗)。Doyce達の住むCanderis は一つの国。Seekers はそこの組織の一つに過ぎず、別の国にまでは普通は出て行っていない模様。Ghatti も、Marchmont では人と一緒には暮らしていません。野生にはいるのかな、という程度。ちょっと驚きました。まだまだ他の国もありそうです。

ええと、今回は完全に超能力SFですね(笑)。やっぱりファンタジーじゃないみたいです。猫集会も開かれてないし、テレパシー能力者の系譜も、宇宙船の通信担当者(双子のテレパスが一人は宇宙船に、一人は地上に、というタイプ)から派生しているという設定。一昔前のSFという感じですが、それはそれで楽しいです。懐かしい感じというか、何というか。

さて、今回、文句なしに一番いい男だったのは、人間ではなくてGhatt のSaam でした(笑)。いやもう、台詞のひとつひとつがかっこよくてー。人間達にももっと頑張ってほしいものですが、なかなか……。あと、Doyce が鈍すぎて、Jenret がとっても気の毒でした。傷つきすぎていたのはわかるけれど、あれはちょっとどうよ? みたいな(笑)。ということで、恋愛模様もぐるぐるで、話もどーんと重たくて、大変な本でございました。でも、面白いシリーズなので、いつかは読んでみてくださいませ。

英語的には、今回も厳しかったです。読んでるときには「ううううう、ちょっとよくわからない」と思っている程度だったんですが、今日、次に読む本をちょっと読んでみたら、まるで日本語で読んでいるかのように簡単な気持ちが(笑)。そうかそんなに難しかったのかこっちの本は(爆)。相性もあるんでしょうけれど、なかなか。
2006.04.02



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