ファンタジー・海外

Serge Brussolo
セルジュ・ブリュソロ

原語はフランス語? 元々は大人向けのマルチ作家さんらしいです。詳しいことは知りません(笑)。

「ペギー・スー @.魔法の瞳を持つ少女」
金子ゆき子訳 角川文庫 2005(単行本は角川書店 2002)
"Peggy Sue et les Fantomes - Le Jour du Chien Bleu" 2001

14歳の少女ペギー・スーは、突然発作を起こす変な子として、クラスの嫌われ者だった。退学を申し渡されて転校することすでに数十回。けれど、本当の彼女はいたって真面目な、頭のいい女の子だった。ただ、彼女には他の誰にも見えない「見えざる者」たちの姿が見え、そのことを彼らに厭われて嫌がらせを受け続けていたのだ。彼女の手を取って黒板に恐ろしいいたずら書きをさせる。道の真ん中で奇声を上げさせる。先生に指名されたときに、口を押さえつけて呼吸を止める。家族も、先生も、誰ももう彼女の言うことを信じてくれない。友達なんか1人もいない。「見えざる者」の作戦は完璧だった。そして、彼女がまたもや転校させられることになったとき、彼らはより危険な、規模の大きなゲームを仕掛けてきて……。

文庫化されたので読んでみました。
うーん。かなり、悲惨なお話です。主人公、可哀想すぎますね、色んな意味で。これって、巻を追うともうちょっとなんとかなっていくのでしょうか? それとも悲惨の連続? お話としてはよくできていて面白いのですが、その辺が気になります。

と、それさえ気にしなければ(?)、ドタバタありドキドキありハラハラありの楽しい作品です。「見えざる者」たちの論理は明解で、頷けるところもたくさん。動物たちに関しては、うーん、そこまで人間嫌いですか? 嫌いですよね、やっぱり(涙)。でも、「青い犬」、泣かされました。

ハードカバーでどうこうとは思いませんが、文庫で続きが出たらまた読んでみます。
2005.08.13

「ペギー・スー:A 蜃気楼の国へ飛ぶ」
金子ゆき子訳 角川文庫 2005 (単行本は角川書店 2002)
"Peggy Sue et les Fantomes - Le Sommeil du Demon" 2001

父親が失業し、新たな仕事に就くことになったため、一家で砂漠の街にやってきたペギー・スー。父親の新しい仕事は、うち捨てられた飛行場の警備員だった。しかし、周囲は灼熱の砂漠。あまりの生活の厳しさに、人々は蜃気楼に誘われ、次々と姿を消していくのだという。特に子どもは誘われやすいと警告されたペギー・スー。そして、本当に、彼女の目の前に美しい雪の世界が……。
今は相棒となった「青い犬」のおかげで難を逃れた彼女だが、やがて、蜃気楼の国に乗りこんで戦うことを余儀なくされる。蜃気楼の国、そこは眠る悪魔の作り出す夢の世界だった。

おお、「悪魔」関係?(笑)。
今回は、ホラーと言うよりはおとぎ話なお話です。1巻での、ものすごいいじめ感覚はやわらいで、裏には相変わらず悪意があるにせよ、結構普通(笑)の冒険物語になってますねー。蜃気楼の世界の雰囲気は、ちょっと「ザンス」に近い感じがします。ただ、そうですね、やっぱりこの著者は徹底的に性悪説の人なのかな、と……。悪、まではいかないにせよ、とにかく人は自分のことしか、自分が楽になることしか考えてないんだよ、という雰囲気がそこここに。それが物語を面白くするとも言えますが、時々、やりきれない感じもします。それが狙いなのかもしれませんけれど。

そうそう、青い犬、大活躍です。
そして、ペギー・スーの新たな相棒になるセバスチャン。ちょっとどうかな、というところもありますけど、強く生きてね(笑)。
彼らの未来が明るいことを祈ります。
2005.10.09

「ペギー・スー B.幸福を運ぶ魔法の蝶」
金子ゆき子訳 角川文庫 2005(単行本は角川書店 2003)
"Peggy Sue et les Fantomes - Le Papillion des Abimes" 2002

夏休み、家族の元を離れて1人でおばあちゃんの家にやってきたペギー・スー。おばあちゃんが住んでいるのは、そこに降りると知っただけで、列車に乗り合わせた人々が後ろ指を指すような不思議で危険な土地、シャカ・カンダレクだった。そこには、巨大な蝶が住み、その影に入ると、人は信じられないくらいの幸福感を味わえるという。人々は蝶の影を追いかけるため、巨大な車輪のついた家に住む。おばあちゃんの家ももちろんそうだ。そして、おばあちゃんは魔女だった……。

おお、だいぶファンタジーらしくなってきましたね(笑)。
ペギー・スー、どうやら突然変異で不思議な力を持ったというわけではなく、おばあちゃんからの遺伝があったようです。おばあちゃんは結構力のある魔女。でも、やってることはかなりチープ? 蝶が謎の敵によって攻撃され、姿を隠してしまうようになったために不安にさらされる人々のために、「落ち着き猫」を貸し出したりしています。最初は真っ白な猫が、撫でられるうちにだんだんピンクに、最後には赤へと変わる。そして、撫でた人はすっかり不安を消して貰って幸せな気持ちに……。ええ、薬物依存と何ら変わりはありませんね(笑)。

と、そんな感じで、相変わらず悪意と風刺に満ちたお話です。でも、ペギー・スーは頑張ります。水をかけてもらったセバスチャンも。そして、今回、ペギー・スーには新たな求愛者が(苦)。だんだん、モテモテになって参りました。これからどうするんでしょう?

今回のお話自体は、なかなか面白かったです。前2作よりは気楽に読める感じでしょうか。猫にしても、避雷針代わりのりんごにしても、小道具が気が利いていて楽しいですねー。でも、「見えざる者」についてのオチがちょっと……。いいんでしょうかあの程度で? 本当に?(遠い目)。まあ、そういうかわし方も、作者の戦術のうちなのかもしれませんね。シリーズはこの後も続くみたいですし。でも、やっぱりなあ……。
2005.12.03



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