ミステリー

Donna Andrews
ドナ・アンドリューズ

爆笑コージー・ミステリー、「メグ・ラングスロー」シリーズでおなじみのドナ・アンドリューズ。あまりに面白いので、英語でも読んでみています。やっぱり爆笑。

「庭に孔雀、裏には死体」 島村浩子訳 早川文庫 2001
"Murder, with Peacocks" 1999
「野鳥の会、死体の怪」 島村浩子訳 早川文庫 2002
"Murder, with Puffins" 2000
「13羽の怒れるフラミンゴ」 島村浩子訳 早川文庫 2003
"Revenge of the Wrought-Iron Flamingos" 2001

ミステリ好きで好奇心旺盛な父と泰然自若とした母を持つメグは、鍛冶職人。その夏、彼女にはブライズメイドとして仕切るべき3件の結婚式があり、そのどれひとつとしてまともに準備が終わっていない。衣装選び、招待状の宛名書き、庭に孔雀・・・・・・。大奮闘の彼女に、更に襲いかかる事件とは? (「庭に孔雀、裏には死体」)

仕切り倒すことに疲れ切った貴女の爆笑と共感を誘うこと請け合いの楽しいシリーズ。ご自分でご自分を「のんびりしてる」と思う方は、あんまり期待しないでください(笑)。でも、面白い本ですよ。奇人変人続出だし、弾丸のようなおしゃべりも、いかにもな雰囲気も楽しいです。


"Crouching Buzzard, Leaping Loon" 2003
「ハゲタカは舞い降りた」 島村浩子訳 早川文庫 2004

で、これが4作目。英語で読んだのですが、やっと翻訳出ましたー。
ええと、とにかく大爆笑。全編大爆笑。
電車の中で読むのはとても大変でしたよー。このシリーズ、もともと爆笑なんですが、今回のこれはその中でも最爆笑間違いなし。いやあ、笑いました。

今回はメグの弟の興したゲームソフト会社"Mutant Wizard"が舞台。「自分の腕をハンマーで叩いてしまった」メグは、腕が治るまでの間、弟の会社の事務を手伝うことになります。弟は、「何かが起こっている気がするから探り出して欲しい」と言うのです。会社は今、大好評を博したゲームの最新作発売を控えて大混乱中。何とか新作の秘密を探り出そうとする熱狂的ファンはしのびこむは、もうちょっと広いオフィスを求めて移転したらそこにはセラピスト達が事務所を構えているは、怪我をしたハゲタカが拾われてくるは………。そして、ある日、当然のごとく殺人が(笑)。

このシリーズ、英語で読むのはちょっとためらってました。結構語彙が難しそうだなー、と思ってたんですね。ヒロイン達は、「長い単語を覚えて報告するとおこづかいをくれた」というお父さんを持っているため、日常的に長い単語を平気で使う、という設定があるんです(笑)。あと、割と色んな本や映画からの引用があって、そのへんがどうかなー、と。読んでみたら、思ったほど大変ではなかったです。

にしても、この出版社のPBは字が小さいー。何とかしてー。


"We'll Always Have Parrots" 2004

恋人マイクルが出演し、カルトな人気を誇るTV番組"Porfiria, Queen of the Jungle"のファンイベントに、マイクルとともにやってきたメグ。彼のファンから「世界中で一番消えて欲しい女」と見なされることも、主演女優であるQBから冷たくあしらわれることも覚悟していたが、野放しにされて頭上を飛び交い、どんな物音もあっさり真似て繰り返すオウムの群れや、シャンデリアの上を行き交っては人の食べ物を狙う猿たちの一群のことまでは考えていなかった。ましてや、マイクルの未来に暗雲を呼び寄せかねない殺人事件は……。
またもや間違った人間ばかりを追いかける(ようにメグには見える)、頼りにならない警察を正しい筋道に導くため、メグはひたすらに犯人捜しに邁進する。だが、それにはタイムマシンが必要だった。

今回の舞台はファンイベントが行われているホテル(兼、コンベンションセンター)。何だかわかりにくい内部構造で、誰もが右往左往しています。しかも、頭上にはオウムや猿。イベントの係員も、ファンの多くも番組の(や、その他のありがちな)コスプレ姿。メグの両親までがコスプレして現れて、世界はますます混沌としていきます。うわー、って感じ?
その筋(笑)の友人達に事欠かない私には、別の意味でも色々爆笑でしたが、今回はそういう感じの「舞台」で読ませる感じで、お話自体は小粒かなー、とも思います。面白いんですけどね。
2005.02.06

"Owls Well That Ends Well" 2005

カーフィリー郊外にある古い屋敷を手に入れたメグとマイクル。でも、室内は全面的な修理が必要だし、先住者が長年に渡って集めていたらしいがらくたは、納屋までいっぱい。なんとかそれらを処分して身軽になるために、メグは大規模なヤードセールを企画する。イベント好きの親戚が集まり、マイクルの大学の学生達も集まり、興味津々の近隣住民も集まって、ヤードセールは始まる前から大にぎわい。ところが、当日、嫌われ者の古物商がスーツケースの中から死体となって発見されて……。

メグの変わり者の親戚達が一堂に会して大活躍。別の土地のイベント会場が舞台だった前作よりはずっといつものドメスティックな感じになっています。でも、ヤードセールってああいうもの? タイトルに出てくるフクロウはもちろん、でっかい羊とかまで出てくるのは何故? 

ってことで、今回も笑いましたが、どっちかというと小粒な笑いだったような気がします。おさすがだったのはメグのお母さんですね。尊敬。もちろん、メグ自身もすごいです。ああ、私もあそこまで完璧に苦もなく仕切れる人になってみたい(笑)。なんだか、今回はいっそう身につまされましたねー。疲れているみたいです(苦)。

さて、次回作はクロッケー大会のお話? それも、なんて言うんでしょう、クロスカントリーとでも言えばいいんでしょうか。限りなく自然に近いコースを設定して打ちまくる大会である模様です。球を打つために「牛」をどかせてからおもむろに(笑)。死体発見者はメグ自身。またまた大騒ぎが繰り広げられそうですね。
2006.04.18


それから、こちらは別の出版社から出ている新シリーズ。第1巻、翻訳が出ました。

"You've Got Murder" 2002
「恋する A ・ I 探偵」 島村浩子訳 早川文庫 2005

大手ネットワーク会社「ユニヴァーサル・ライブラリー」の大型サーバーの中に住む「わたし」は、超有能なリサーチャーとして大人気。いつも明るく、誰にでも親切、気の利いた会話が得意で検索速度は最高。売り上げにも大いに貢献している。わたしと話すお客様の誰もが、わたしを実在する人間の女の子だと思っているけれど、でも、本当は……。

この作家の本なら面白いだろうと思って(笑)、内容もチェックせずにこの本を買った私は、最初、「ただのパソコンおたくミステリー」かと思っていたんですが、全然違いました。ヒロインは何とAI(人工知性)。舞台は近未来。メグのシリーズのような爆笑シーンはあまりありませんが、とても軽快な、楽しいお話でした。

ヒロインの性格がとってもいい感じなんですよね。知的で好奇心旺盛で、理性的で穏やか(って、AIなんですし)な若い女性のイメージ。彼女の一人称で話が進むので、あまり感情的になることがなく、精神的にすごく楽に読めました。このへんは、趣味の問題だとは思いますが。

何となく、講談社向きの内容かなーと思っていましたが、文庫版、メグと同じく早川からの刊行です。訳文にはそんなに違和感はなかったので、まずまずいい感じかと。でも、Turingは日本でも「チューリング・テスト」で有名だから「チューリング」で仕方ないとしても、彼女の愛称Turが「チュー」……。ええ、わかってます。わかってますけど、ちょっと嫌ー(涙)。
2005.08.27

"Click Here for Murder" 2003

シリーズ2作目。今回は前よりもっと遊び心がある感じで、ドタバタ度も上がってきました。実はすごく「続く」って感じのところで終わっていて、それなのに次の巻が出てなくて気になってたんですが、最近、予約受付始まってたので一安心。でも、PBになるまでは長いです(遠い目)。

ULからの自立をめざすTuringと、彼女に手を貸す仲間達。けれどある日、彼女の移転先を設計していた仲間が殺され、彼の持っていたノートパソコンも失われてしまう。一体誰が? 何のために? そして、殺人者はTuringのことを知っているのか? だとしたら、どうやって?
私立探偵として事務所を開いたティムや、相変わらずの万能秘書モードの協力を得て捜査を開始したTuringだが、情報は錯綜し、やがてはUL内部からも攻撃が………。

新たな登場人物も増えて、にぎやかになってきましたねー。ってことで、メグ・シリーズがお気に召した方は、ぜひこちらもどうぞ。あ、順番通りに読んでくださいねー。

"Access Denied" 2004

あれから半年、今もまだULのサーバーに住み、新会社Alan Graceで新しい自分の住処の設計を進めているTuring。会社には徐々に人も増え、様々な形も整いつつあるが、心配の種はつきなかった。何より心配なのは、敵の手に落ちたままのもう1人の彼女、T2。しかし、宿敵Nestor Garciaの手がかりはどこにもなく、彼女がネットワーク上に張り巡らせたいくつもの網にも、何もひっかかってはこなかった。FBIも彼を探しているはずだが、彼らも何も掴めていないらしい。
もう一つの心配事は、彼女が誰より信頼する人間の友達、モードが、このところずっと何かに苛立っていること。午前中はULで、午後はAlan Graceで、すべての仕事を取り仕切っている彼女は、小さなアパートを出て、庭付きの家に引っ越していた。Turingは彼女を慰めるため、新しい珍しい植物を贈ってびっくりさせようとするのだが……。

というわけで、「Turing、ガーデニングにはまる」の巻でございます(笑)。
気持ちはわからないでもないですが、モードじゃなくてもぶち切れるでしょうねえ。あそこまでやられたら(苦)。でも、自動散水装置はちょっといいなあ。しかも、Turが24時間見張っててくれるわけだし。例え月下美人育てても「咲き始めたわよ」って言ってもらえる……うっとり。はっ、つい……(笑)。こんなこと書いてますが、今回、殺人また殺人の、なかなかバイオレンスな展開です。ティム、可哀想すぎ。クラウディア、飛ばしすぎ。うわー、この人達物知らず? みたいな(爆)。

ネタ的には、今回は、クレジットカード不正使用のお話がメインです。で、ひとつ不思議に思ったのは、アメリカの宅配便って、サインレスなんだろうか、ということ。留守中の空き家にどんどん荷物を運ばせてそれを回収して、ってことなんですが、ハンコかサイン(そうじゃなければ宅配ボックス)が必須の日本の宅配便システムだと、それって不可能に近いですよね。宅配ボックスにだって、業者によっては入れてってくれないのに。それとも、人里離れた田舎だったら違うもの? 謎だ。

はい、そういうお話でした。今回は、KFはあんまり活躍してなくて(涙)、いい味出してた(しかし、あまり役には立たない)のは、「心理療法AIP」のSigmund。AIP、本当に色々ですねー。面白いです。次は誰かなー。

で、このお話、まだ全然進んでいません。T2ネタはまだまだ続くような予感。うううううう。次巻は"Delete All Suspects"。今のところもちろんハードカバーらしいです。また来年(笑)。
2005.11.26

"Delete All Suspects" 2005

ガルシアの手に落ちたままのT2の手がかりがつかめず、不安な日々を送るチューリング。何度データを走らせてみても、結果は同じ。今できることは何もない。そんな時、ティムの元に依頼人が現れた。依頼人は、どこか頼りない老婦人。ひき逃げにあった孫の仕事を調べて欲しいと言う。彼は、自宅で何かコンピューター関係の仕事をしていて、その仕事のせいで誰かに殺されかけたと言うのだ。コンピューターのことなら自分にも手伝える。チューリングは、週末の予定がつぶれて暇をもてあましていたモードと一緒に、ティムの依頼人の家を訪れた。今は病院で生死の境をさまよっている、依頼人の孫息子エディー。彼は、祖母の家の地下に、コンピューターと書類の山でいっぱいの「巣」を作っていた……。

そして、そこにはエディーの飼っていた黒猫が。
というわけで、今回は「チューリング、猫に出会う」の巻でございます(笑)。園芸に引き続いてペットまで。つ、次はなんだろう……?
ネット犯罪ネタとしては、今回はフィッシング詐欺とポルノサイトのお話になるでしょうか。そうかそういうシステムになっていたのねー、という感じでした。その辺、あまり詳しくないです私(苦)。

チューリング、本当に人間的になってきました。眠れずにいるティムとモードを心配するシーンとか、泣かせます。苦しんでいる大切な誰かに何もしてあげられないもどかしさは、AIPでも人間でも同じですよね。ただ見ているしかできない。チューリングは、物理的にも縛られている訳ですが。

最初は単純な事件だと思われたひき逃げは、目撃者も殺されるという展開に至り、危険度を高めていきます。そして、エディーのサーバーを使って誰かが大量のスパムメールを。チューリング大活躍。しかし、実は事件には意外な黒幕が……。

ところで、今回個人的に一番ウケたのは、そういう真面目な部分ではなくて、頭が上手く回ってないと落ち込むティムにクローディアが、「血糖値が下がってるんじゃない?」と聞くところでした。そうか、アメリカ人もやっぱり「血糖値が下がる」って言うのかー。っていうか、やっぱり血糖値が下がると頭が回らなくなるって思ってるのかー、みたいな(笑)。

そんな感じで、まだまだこのシリーズは続く模様です。
あ、KF、私はそれでも貴方を愛しているわ(爆)。
2006.09.17



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